温度が高いほどに音もなく燃える炎。ネットで騒がれることを「バズる」と言うが、派手さと無縁の立ち食いそば屋は、いくらコスパが良くてもバズることはあまりない。さながら青い炎のように……静かに熱い。
また1つ、そんな立ち食いそば屋を発見したのでご紹介しよう。500円超えが当たり前になった東京の飲食業界において、かけそば1杯200円! 揚げ物3つトッピングでもワンコイン以下!! 立ち食いそば屋『亀島』が激アツ!
・なんでもないビル郡の隅っこ
台風一過、群青の空が光る茅場町。オフィス街に吹き抜ける風は爽やかに秋の到来を告げる。そんなビル群の隙間から顔出した『亀島』は、草のように花のように「なんでもねえや」と言いたげに佇んでいた。
そう、なんでもないビル群の隅っこ。しかし、その看板に掲げるのは「おそば200円」の文字だ。言葉もなく200円。そこには雑草のごとく強い意志を感じる。思わず、表にあった券売機で「かき揚げそば(税込290円)」とトッピング「牛肉コロッケ(税込90円)」を購入してしまった。
・現代ではない
入店すると、店内は立ち食い席が7~8席ほど。食券を渡したところ、さっそくコロッケとかき揚げ天で盛り盛りになったそばが登場。
色の濃いつゆをひと口飲んだ。舌に染みるコクの深い濃厚な甘辛さ。昨日の雨で冷えた心も温められるような味だ。
かき揚げやコロッケをかじると、そんなつゆがじんわりとにじみ出す。優しい。特に、コロッケは牛肉の旨味の中にピリッとスパイスが利いていてつゆとベストマッチ。細めのそばとの相性も良い。
この味とボリュームで380円は激アツだ。さらに、トッピングが大体90円なので、もう1つトッピングを増やしたところでワンコイン以下。現代の価格と思えないレベルである。
・雨曝しならすするがいいさ
とは言え、昼時の店内はまだ満員ではない。静かにそばと向き合う猛者たちが4人ほどだ。こういうところも立ち食いそば屋の良いところである。
差し込む柔らかい光、広がる青い空。雨雲が逃げ去った都会のビル群には、また嵐のような喧騒が戻って来るだろう。雨曝しならすするがいいさ。『亀島』で。名もなき花は今日もコンクリートの隙間で音もなく燃えている。
・今回紹介した店舗の情報
店名 亀島
住所 東京都中央区日本橋茅場町1-14-2
営業時間 月~金7:00~21:00 / 土・祝7:00~15:30
定休日 日曜
Report:立ち食いそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼ピリッとした牛肉コロッケがウマイ
▼雨曝しならすするがいいさ