空前のブームは過ぎ去り、いまや文化として定着した感のあるカフェ。スタバやタリーズなどのチェーン店はもちろんのこと、街には個人経営のお洒落なカフェも非常に多い。もしカフェが無くなったとしたら……困る人は多いハズだ。
ところでみなさんは、日本有数の老舗コーヒーチェーン店『ルノアール』は利用されるだろうか? 私(P.K.サンジュン)は最近になってちょいちょい利用するようになったのだが、40歳にして初めて「ルノアールの素晴らしさ」に気付いたのだ。
・良さがわからなかったが……
正直に言って、私も数年前までは「同じ値段を払うならルノアールよりお洒落なカフェの方がイイ」と考えていた。ルノアールのコーヒーは決して安くないし(近所の店舗では600円くらい)、ビックリするほど美味しいわけでもない。そういう意味で「コスパが悪いのでは?」と感じていたのだ。
いいや、さらに言うならば「なぜルノアールがやっていけているのか?」不思議に思ったことさえある。同じ値段を払うならスタバのフラペチーノの方がいいし、コーヒー1杯の値段ならドトールの方が遥かに安く済む。それなのにルノアールは一向に無くなる気配はなく、ルノアールはルノアールのままである。
ただ、40歳を越えてからルノアールの魅力がだんだんとわかるようになってきた。それには大きくわけて3つの理由があるのだが、詳細については以下で項目ごとに説明したい。
・その1: 絶対に混んでいない
推測になってしまって申し訳ないが、おそらく日本中の店舗を探しても「行列のできるルノアール」は無いハズだ。ルノアールはいつ足を運んでも、基本的には待つことなくすぐに着席できる。
これは「時間が思った通りに使える」という意味で重要で「とりあずルノアールでいいか」という大きな動機になる。並んでまで飲みたいスタバも魅力的ではあるが、40歳になると「絶対に座れるルノアール」も同じくらい魅力的なのだ。
・その2: どこにでもある
気にしていない人は気付かないかもしれないが、都内であれば「ルノアールはどこにでもある」と言ってもいいだろう。ふと見上げればビルの上、道を歩けば路面店、さらには地下街にもルノアールは進出している。
しかも先述のように待たずに入店できるため、土地勘のない街では「ルノアールにしておこう」となりやすい。開拓精神が弱くなりつつある40歳のおっさんにとってルノアールは “オアシス的な存在” と言っていいだろう。
・その3: 1ミリも気取らなくていい
もっとも大きな理由は、心の底からリラックスできること。つまり「1ミクロンも気取らずに利用できる」という点にある。店員さんもニコニコスマイル接客ではないし、内装だって決してお洒落ではない。だが、それこそが素晴らしい。
ルノアールを利用する人は、誰の視線も気にすることなくただただ自分の時間を過ごしている。1人の人、商談する人、スマホをいじくり倒している人……。利用客は様々だが、誰1人として余計な神経は使っていないハズだ。
安くもないし、めちゃめちゃウマいわけでもないのに、ルノアールが潰れないのには上記のような理由があるのではなかろうか? いまはまだルノアールの良さがわからない人たちよ……大丈夫だ。きっと40歳になったらルノアールの素晴らしさに気付くから。