サッカー日本代表は、ロシアで開催中の2018 FIFA ワールドカップにおいて、グループ予選の最終戦でポーランドに敗れたものの、決勝トーナメント進出を決めた。2010年の南アフリカ大会以来、8年ぶりとなる快挙に日本中が歓喜。当然、東京・渋谷の駅前交差点では、深夜にもかかわらず多くのサッカーファンが喜びの声を上げていた。

テレビを通じて見ていると、彼らの声はただの騒ぎに見えるのだが、その場にいると心の奥底に抑えがたい感情が湧いてくる。あの熱狂に触れて感じたことと、もしもあの場に居合わせた時の注意点をお伝えしたいと思う。

・多くの人が惨敗すると見たのでは?

正直なところ、私(佐藤)は今回の大会でまさか日本代表がここまで活躍するとは思っていなかった。開幕2カ月前の監督交代。選出された選手たちの年齢の高さなどから、かなり苦戦を強いられると感じていたのだ。初戦のコロンビアにも、もしかして惨敗を喫するのでは? そんな気持ちでテレビを見ていたら、選手たちの目覚ましいプレイによって勝利を収めた。

・確信めいた期待が生まれた

コロンビア戦後の渋谷駅前広場は、終電前の時間ということもあり、駅の利用者と勝利を喜ぶサッカーファンがバッティングして大混雑。人波をかき分けて前進するような状況になっていた。

この時でさえ、「決勝進出するかも?」と予測していた人はそこまで多くなかったはずである。続くセネガル戦で引き分けたことにより、「これは決勝行ける!?」という確信めいた期待に変わったはずだ。しかし……


・ポーランド戦で敗北

予選リーグ第3戦のポーランドとの試合では、不安な展開が続き、後半にポーランドの先制を許してしまう。そのまま点を取り返すことができないまま、試合終了。

決勝進出のカギはコロンビア 対 セネガルの試合の結果次第となった。他力本願か……そう思っていたら、コロンビアが勝利し、セネガルとのフェアプレイポイントの差で日本が決勝に行くことができたのだ。


私がホッと胸をなでおろし渋谷駅前に行くと、多くの人々が歓喜しているじゃないか。

喜びを爆発させているその姿を見て、私は素直にこう思った。


『良かったよな! 日本代表選手たちはみんな頑張ったよな!! あの活躍を称えたい! 何だか叫びたい気持ちになった!』


まるで祭りのお囃子(はやし)に誘われるようにして駅前まで着き、そしてその祭りに自ら加わるような気持ちが胸の内にあった。同じように、センター街(バスケットストリート)の方からも続々と人が押し寄せてくる。

やってくる人たちの姿を見ていると、やはり祭りに加わるような気持ちで駆けだしてくることがわかった。大きな声がする駅前の広場に、今すぐに行かなければ! そんな感じで駆けだしている人の姿も多く見えた。

・喜びに任せて油断してはいけない

私はそれに混じることができるほど自分が若くなく、やみくもに声を出せるほどの元気もないので、遠巻きに様子を見ながら帰った。しかし、そのすぐそばにいると、喜びを爆発させたい気持ちはよくわかる。なぜなら、当初は厳しい意見が多かった日本代表が、決勝トーナメントに進出し、多くの人に夢と希望を与えているからだ。

だが熱狂にあてられ、自分を見失ってはいけない。交差点周辺の安全を守ってくれている警察官の指示に従うべきだし、他の人の通行の妨げになってもいけない。騒ぎに乗じて、財布を盗んだり女性の身体に触れたりする危ない輩もいると噂されているから、油断してもいけない。


・ナンパ目的の男性はこう考えている

一息つくために私がファミレスに入ると、隣の若い男性2人組の会話が耳に入ってきた。ナンパについてあれこれと話している風だったが、片方の男性がこういう。


「今日はチョロい」


終電がなくなって、タクシーで帰るのも億劫。それならナンパに乗って、男性のおごりでお酒を飲んでいる方がマシ。そんな風に考える女性がいると言っているのだ。もとからナンパを目的にして、深夜の渋谷に来た可能性もあるだろう。

とにかく、喜ぶ気持ちは十分にわかる。しかしそれに乗じた良からぬ輩がいることも事実だ。油断することなく、またマナーを守って観戦しよう。それから酒の飲み過ぎにも要注意、いうまでもなく、お酒は20歳になってから。

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24