どこぞの大学教授のTwitterが炎上している。すでに投稿は削除されているので詳細については割愛するが、自らの趣味であるミュージカルに興味を示さずゲームが大好きな我が子に「これが自分の子か」「今度楽しまなかったら許さない」などと投稿し批判を浴びたものだ。

大目に見れば親が我が子と趣味を共有したい気持ちはわかる。ただ押し付けであってはならない。そういう意味で私、P.K.サンジュンの父はとんでもない変人ではあるものの、今になって思えば「あ、ここは立派だったな」と思う部分が1つだけある。

・超ド級の変人

これまで何度かご紹介してきたが、私の父はちょっとやそっとの変人ではない。「明日引っ越す」と母に告げてみたり(盛大に頭をイスでカチ割られる)、意味もなく「孫なんていらないんだ(怒)!」と突然キレてみたりする、とんでもなく独特の価値観の持ち主だ。

一言でいえば超頑固……いや意固地な性格なのだが、本人が「俺はだいぶ周囲に気を使っている」「我慢している」と思い込んでいるからタチが悪い。それでも今になって思えば1つだけ「立派だな」と思うところがあった。

・それなりにお金持ちだった我が家

私が幼い頃、父は自分で商売をしていた。当時はそれなりに儲けていたようで、我が家は大金持ちではないものの小金持ちくらいの生活水準だったと記憶している。家は100坪ほどあったし、父の趣味である庭には1本何百万円もする木が無数に埋められていた。

あれは小学校の高学年だった頃だろうか? 日曜日恒例の父と2人でお風呂に入っていた時のことだ。その頃の私は漠然と未来を意識し「自分は将来どんな仕事をするんだろう?」と何となく考えていた。

当時はコックさんになりたかったが、それでも自分は長男であり父が商売をしている以上、それを継ぐのが当然だと思っていた。そして父が喜ぶと思っていた。子供は純粋だから父の跡を継ぐことがイヤではなかったし、そうすることが自然だとさえ思っていたのだ。

・父に「仕事を継ぐ」と告げたら…

ましてや我が家は韓国人である。周りを見ても家業を受け継ぐ人は非常に多い。苦労して成した財を子供に受け継がせたいと願うことはある意味で自然な感情であり理解もできる。そして当時の父は少なくない財を成していたのだ。

だがしかし、お風呂の中で何となく「お父さん、僕は将来お父さんの後を継ぐからね」と告げたとき、父は私が全く想像していなかったリアクションでこう返してきた。


「お前はお前。お前の人生がある。だからお前は好きなことをすればいい。長男だからってお父さんの跡を継ぐとかは考えなくていいぞ」


これは両親ともに一貫した考えで、私は両親から「将来〇〇になれ」などと指図されたことは1度も無い。その後、我が家の財政が急激に傾き継ぐものが跡形も無くなったことはさておき、この1点だけは「ああ、父は立派だったな」と今になって思う。

・子供は親のものではない

親が子供に自分が好きなもの、自分の財産、自分の価値観を共有したい気持ちはよくわかる。ただ、子供は親のものではなく1人の人間であることを忘れてはならない。父は今なお超ド級の変人であるが、当時から私と “1人の人間” として向き合ってくれていたのだろう。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼今でもド級の変人ですが、ここは立派だったと思います。