さる2018年6月7日から、サンワサプライがWEB直販サイト『サンワダイレクト』にて、スマートフォンクーラー「400−CLN027」を発売開始した。注目すべきポイントは、ペルチェ素子搭載という点である。しかも業界初らしい。
ちなみにペルチェ素子というのは、電流が流れたときにその向きに応じて片方の面が熱を吸収し、反対側の面が発熱する半導体素子。身近なものだと、小型の冷蔵庫などに利用されており、冷却能力の要となるパーツだ。それが搭載されたスマホクーラーとなると、やはり性能が気になる。ということで早速入手して性能をチェックしてみたぞ!
・開封の儀からの外観レポート
記者は「400−CLN027」を4980円で購入した。セット内容はシンプルで、本体とUSBケーブル、そして説明書の3点のみ。サイズ比較のために記者のスマホ(Xperia XZ)を横に並べてみたが、それより小さいのでなかなかコンパクトである。
しかし真上から見ると、電源とUSBポートがついており、厚さは約2.5センチだった。それなりの厚さがあるため、携帯性を考えると評価は分かれるところだと思う。やや粘着質な素材で、スマホにピタッとくっつけることができた。
・冷却性能テスト
では、肝心の冷却性能はどうだろうか。今回、温度の計測にはAndroid版アプリ『CPU−Z』を使用した。これは温度だけでなく、詳細なデバイス情報、CPU稼働率、各種センサーの情報などを見ることができるものだ。そして計測の仕方は以下の通り。
1. スマホが熱くなるまで、画面の明るさをMAXにしてソシャゲで遊ぶ
2. 熱くなったらソシャゲを閉じて、CPU−Zを素早く起動!
3. スマホクーラーを貼り付けてスイッチオン!
4. 5分間で何度まで下がるか動画で記録
その結果、計測開始時のバッテリーの温度は46.0度だったが、5分後には35.0度にまで下がっていた。
使用したXperia XZには内部に温度センサーがいくつも搭載されている。そのため複数の温度が計測されるが、軒並み45度以上からスタートして、35度付近で落ち着いているのがわかる。5分間で約10度下がった!
なお、スマホが熱くなる原因のソシャゲを閉じた状態での計測だったので、もしプレイしながらとなると結果も変わってくるだろう。とはいえ、個人的にはよく冷える印象だ。
なにより気に入ったのは、スイッチを入れるとクーラー部分が物凄い速度で冷たくなっていく点である。これは空冷式や、ヒートシンクだけのスマホクーラーではできない体験で「あぁ~! ペルチェ素子の温度ォ!」という感じになってそれなりに頼もしい。とまぁそれなりに満足感を得ているのだが、いくつか気になる点もある。
・使用中のバッテリー残量がわからない
電源が入ると上部のLEDが緑色に光り、充電中は赤くなる。しかしバッテリー残量を示すインジケーター的なものはどこにも無いため、あとどれくらい使えるものなのか、充電は完了しているのかなどが一切わからない。
説明書には一応「使用可能時間1.5時間」「充電時間3時間」と書かれているが、これを目安にするしかないのは少し不便だ。
https://instagram.com/p/BjymbI2nThz/?hl=en
・コネクターがmicro USB Type−B
また、コネクターがmicro USB Type−Bということも惜しい。記者としては、Lightning端子かmicro USB Type−Cのどちらか、あるいはその両方だったら完璧だった。
クーラーの使用可能時間が1.5時間と短いため、場合によってはクーラー用にチャージャーを用意する必要もあるかもしれない。ケーブルというのは思いのほか邪魔になるので、可能な限り持ち歩く本数を減らしたいのだ。
・少し高めの値段設定
あとは4980円という値段も気になる要素だ。ペルチェ素子でコストがかさんでいるのだろうが、スマホクーラーで約5000円という価格はそれだけでNGとなる可能性も十分あると思う。とはいっても、製品の方向性的に「面白そうなガジェットには出費をいとわない」ような層がターゲットになっている感もしなくもないが……。
・使い方が限られる
このスマホクーラー、つけっぱなしにして使用するにはかなり向いていない。「スマホが熱いな」と思った時に短時間で冷却するタイプだ。ソシャゲを要求スペックギリギリのスマホでプレイしていると常に冷やしていたくなるが、そういうケースには不向きだと思う。
というわけで良かった点とそうでない点を挙げたが、総評として個人的にはアリだ。なんだかんだでしっかり冷えるし、何よりガジェットとして業界初という点とペルチェ素子にロマンを感じる。
参考リンク:サンワダイレクト「400-CLN027」
Report:江川資具
Photo:Rocketnews24.