2018年5月22日、日本中を騒がしているいわゆる「悪質タックル問題」が新たな展開を見せた。なんとタックルを仕掛けた日大の選手自ら記者会見を開いたのである。

なぜあのようなプレイが起きたのか? 本人の判断だったのか、それとも監督やコーチからの指示があったのか? 記者会見の中で語られた内容とは果たして──。

・明らかになった内容

実名を公表し、己の顔を晒して記者会見に臨んだ日大アメフト部の宮川選手。この会見で明かされたのは以下の通りである。

・会見に至った経緯(代理人からの説明)

「真実を明らかにすることが、被害選手、その家族、相手チームに対しての謝罪となる」
「5月10日、本人と両親が監督のもとを訪ねた」
「個人的に被害選手に謝罪したいと申し出たが、監督に止められた」
「5月14日、本人と両親がOBに呼び出され、規律委員会に事実を話した」
「謝罪そのものが認められないことに納得できず、父と相談のうえ弁護士に相談した」
「5月17日、日大からの事情聴取に応じた」
「5月18日、本人と父親が、被害選手と家族に直接謝罪をした」
「これまで部として聞き取りがあったことはない」
「日大が発表している一連の声明に対し、納得しかねる部分が大いにある」

・選手本人から明かされた内容

「該当の試合の前2試合は、レギュラーとして試合に出場していた。しかし、試合3日目、“やる気がない闘志がない” とレギュラーを外され、監督からは “日本代表には行っちゃだめだよ” と言われ、わかりましたとしか言えなかった」
「監督から相手のクオーターバックを1プレー目で潰すなら試合に出してやると言われた。その間、練習からも外されていた」
「試合当日、メンバー表に自分の名前がなかった。ただ “自分が相手を潰しますと監督に言えば試合に出してやる” とコーチに言われた」
「潰せば(怪我をさせれば)秋の試合でも得だろう、と言われた」
「試合直前、コーチから “やっぱり出来ませんでしたじゃ済まされないよ” と念を押された」
「別に関学大との試合が無くなったっていいじゃないかと言われた」
「試合後、重大な過ちを犯したと泣いていたら、心が弱いと言われた」

ひどい、ひどい、ひどい。ひどいをいくつ付けても足らないほどの極悪非道な指示ではなかろうか? ただ、本人は何度も、

「たとえ監督やコーチの指示があったにせよ、(悪質タックルを)やってしまったのは自分」
「断れない自分の弱さがあった」
「今後、アメフトをやるつもりはない」

……と発言しており、なんとも救いようがない会見であった。将来有望な選手にこのような指示をしていた監督やコーチは果たしてどんな反応を見せるのだろうか? 日大側の対応が待たれる。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:Wikimedia Commons