古くは福本豊氏に始まり、高橋慶彦、緒方孝市、イチロー、赤星憲広……などなど、プロ野球に引き継がれる “韋駄天” の系譜。試合の流れを大きく変える盗塁や走塁はプロ野球の醍醐味であるが、現役プロ野球選手の中で「最も速い男」は誰なのだろうか?
12連続で盗塁王に輝いた福本豊氏のような突き抜けた存在がいないため評価が分かれるところではあるが、個人的には千葉ロッテマリーンズの「荻野貴司(おぎの たかし)」を推したい。入団以来、怪我に泣かされ続けてきた荻野だが、今シーズンはかつての輝きを取り戻しつつあるのだ。
・衝撃のルーキーイヤー
プロ野球ファンならば誰もが納得いただけると思うが、ルーキーイヤーの荻野はヤバかった。開幕から2番に定着し、怪我をするまでのわずか46試合で25盗塁を成功させるなど、華々しいデビューを飾ったのだ。
おそらくあの時、全プロ野球ファンがこう思ったに違いない……「とんでもないヤツが現れた」と。それくらい荻野の足はズバ抜けており、福本豊が記録したシーズン106盗塁を更新できるのは荻野しかいない……と胸を高鳴らせたことだろう。
だがしかし、そんな荻野も9度目のシーズンを迎え、今ではすっかりベテラン選手となった。相次ぐ怪我に泣かされ続け、最高試合出場数は昨年記録した107試合がMAXである。怪我のため1年を通じて活躍したシーズンがほぼなく、もちろん盗塁王のタイトルを手にしたことは1度も無い。
・荻野復活の予感
心無いファンからは「春の妖精(春しか活躍しないから)」「スペ体質(ファミコンソフト、スペランカー並みの虚弱体質だから)」などと言われていたが、どうやら今シーズンの荻野は今までと違う雰囲気がある。それがわかるのが、パリーグTVで公開された動画「幕張の韋駄天の好走塁フルコース」だ。
詳しくはご自身の目でご確認いただきたいが、2018年5月21日時点で、リーグ同率4位となる11個の盗塁を記録している荻野。320という決して高くない出塁率を考えれば、なかなかの成績ではなかろうか?
・やっぱり早い
それに加え、記録には残らない走塁も大きい。浅いフライでもタッチアップする様子や、ワイルドピッチで1塁から一気に3塁を陥れる様子は「荻野復活か?」と思わせるのに十分だ。
打撃面では好不調の波が激しく安定感の欠ける面はあるものの、出塁さえすればやはり相手にとって大きなプレッシャーとなっている荻野の足。荻野が怪我なくシー人を終えたとき、我々はとんでもない記録を目の当たりにしている……のかもしれない。
▼動画はこちら。
▼おまけ。1年目の荻野は何度見てもヤバい。11:37~の谷繁の表情が最高。