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【気をつけて】海外旅行の事前準備がウラ目に出て大失敗! ギリシャのゼウス神殿で「悪魔的な体験」をした話

2018年5月22日

「何事もしっかり準備をして臨むことが大事」ってよく言われるけれど、準備をしすぎて逆に失敗することだってあるのだから気をつけよう! 

──本記事で私が言いたいことをひと言でまとめると、上の通りである。つまり、やりすぎは良くないってこと。しかし、 “準備” に関しては「徹底的にやる方がいい」といったような意見もあるため、私が「準備しすぎは良くない」とだけ言っても納得しかねる読者だっていることだろう。

そこで、私が実際に体験した「準備しすぎて全てが台無しになった事例」を紹介することにより、あまり知られてない「準備しすぎることの怖さ」について注意喚起を促したい。以下のエピソードを読めば、「準備が全て」という考えの持ち主も、その弊害にハッとさせられる……はずだ。

それは昨年、私がプライベートでギリシャを旅行した際に起きた。エーゲ海の島々を訪れた後に最終目的地のアテネにたどり着き、ギリシャ滞在最後の1日を迎えたときのことである。

その日、 “旅行の締め” として私が選んだのがアテネ市内にあるゼウス神殿。名前の通り、ギリシャ神話の最高神・ゼウスが祀(まつ)られている神殿で、ギリシャ神話の聖地と言っても過言ではない場所だ。

「ゼウス神殿でギリシャの長い歴史を思う存分堪能した後、空港に向かおう」──私はそう考えたのである。

・一歩一歩かみ締めながら歩く

ゼウス神殿はアテネ市内の中心部にあるので、アクセスも悪くない。以前の記事でお伝えしたパルテノン神殿があるアクロポリスの丘を東の方へ下っていくと、ゼウス神殿に突き当たるって感じだ。

そのアクロポリスの丘を、私は一歩一歩かみしめるようにして下っていった。私が何気なく踏んだ小石は、かつてソクラテスが踏んだものかもしれない。いや、古代のアテネ市民がスパルタ兵に投げつけたものかもしれない。

なんてことを考えながら歩いていると、一目で古代建築と分かる門が見えてきた。ハドリアヌスの凱旋門と呼ばれるその門の奥側が、ゼウス神殿だ。ちなみにハドリアヌスの凱旋門は、ギリシャ文化を愛した古代ローマの皇帝・ハドリアヌスの功績を称(たた)えるために建てられたらしい。

さて、そのハドリアヌスの凱旋門の脇を通って神殿の入り口に向かい、敷地内に入ってみた。そして神殿を見上げたその時……!! 私はまるで、ゼウスの武器(雷)を脳天に投げつけられたような気分になったのだ。そこから始まった悪魔的体験は、次のページで紹介したい。

Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

何があったのかを単刀直入に言おう。私は、素っ裸のゼウスが神殿の敷地内に仰向けで寝ているような錯覚にとらわれたのである。

……もっと具体的に言うならば、神殿の円柱がゼウスのアレにしか見えなくなったのである。

もちろん、神殿の円柱がゼウスのアレであるはずがない。ありえないことである。しかし、私はどうしても円柱を直視できなかった。なぜなら、私の頭の中にゼウスのこんな声が響いてきた(ような気がした)からだ。


下々の者よ、見よ! 神レベルのサイズを!!」と。



それに対し、私は命乞いするかのように「おぉ、ゼウスよ」と言うしか無かったのである。


・錯覚にとらわれた原因は……

なぜ、こんなことが起きたのか? どうして私は敗北感に打ちひしがれなくてはならなかったのか? その原因はずばり、私が準備しすぎたからである。

というのも、以前の記事でお伝えしたように、ギリシャ神話に残っているゼウスのエピソードはほぼ全て不倫の話。早い話が、ゼウスはクズなのだ。そのエピソードを、ギリシャに旅行する前に私は一応調べていたため、先入観が強くなりすぎたのだろう。さらに!

ギリシャ神話を読むだけでは準備として不十分な気がしたので、私はホテルでゼウス好みの動画を物色。ゼウスの気持ちをより深く知るために、スマホで夜な夜な動画を見まくっていたのである。

その結果、通信量がかさみまくってプリペイドSIM代に数万円を使う羽目になっただけでなく、“あなたへのオススメ” の欄にエキセントリックな設定の動画ばかり並ぶことになったのだが、それはいい。私が言いたいのは、徹底的な準備をしてゼウス神殿へ向かったということだ。

・事態は手遅れ

「その徹底的な準備が、まさか仇になるなんて」と私が気づいたときには、もう遅かった。眼の前の景色が……


おかしいのだ!

神殿の円柱のはずなのに……

なぜかモザイクをかけたくなるのだ!

一体何が起こっているのか?

ゼウスは生きているのか?


よく分からないが、これではギリシャ神話に思いを馳せるどころじゃない。目の前でとんでもないことが行われている(ような気がする)のだから。さらに……!

・錯乱する

混乱した私が周囲を見渡したところ……さらに混乱が深まる光景が目に飛び込んできたのである。“ゼウス生きてる説” を裏付けるような現象と言うか何というか。とにかく、偶然とは思えないことが起きたのだ。何かと言うと……


天に向かってそそり立つ円柱の影が、

ハドリアヌスの門に向かって伸びていたのだ。

繰り返す! 天に向かってそそり立つ円柱の影が、ハドリアヌスの門に向かって伸びていたのだ!! それはまるで突き刺そうとするかのように……。少なくとも、私はそう見えた。

なので私はその場で足を開き、前屈姿勢になって肛門の力を抜いた。神を受け入れるために。運命を甘受するために。「おぉ、ゼウスよ」とつぶやきながら……。


──以上である。

当たり前のことではあるが、ゼウスが生きているわけはないし、神殿の円柱はただの円柱である。そんなことは十分わかっていた……にもかかわらず! 実際その場にいると、上のような錯覚に襲われてしまったのだ。

どうだろう? 準備しすぎることの弊害を、お分かりいただけただろうか? 重要なことなので繰り返すが、過剰な準備が、時には穏やかな旅情をぶち壊すこともある上に、プリペイドSIM代が膨らんで懐を痛めることにもなるのだ。それを痛感した私の経験が、これから旅に出ようとする誰かの役に立てれば幸いである。

[完]

Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼(注)ゼウス神殿はいかがわしい場所ではなく、めっちゃ荘厳な雰囲気が漂う神殿です

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