2018年3月22日、30年の歴史に幕を下ろした「とんねるずのみなさんのおかげでした」。Twitterを始めとする各種SNSはとんねるず関連の話題で持ちきりとなり、改めて「とんねるず」の影響力を思い知った人も多いハズだ。
番組は大ヒット曲『情けねえ』で幕を閉じたが、とんねるずは芸人でありながらヒット曲を連発する歌手としての顔も持ち合わせていた。中でも個人的に思い出深いのが1993年にリリースされた『がじゃいも』で、後にこの曲がとんでもない修羅場を引き起こしたのだ──。
・『がじゃいも』とは
現在40歳の私、P.K.サンジュンが初めて買ったとんねるずのCDは『情けねえ』であった。このCDはB面の『こんな男でよかったら』を含め何回聴いたかわからない。紅白歌合戦で『情けねえ』を歌うとんねるずに釘付けになったことはいい思い出だ。
とんねるずの楽曲でいうと『雨の西麻布』や『炎のエスカルゴ』は私より少し前の世代で、どちらかというと『ガラガラヘビがやってくる』や『フッフッフってするんです』などのパロディ系の曲の方が世代的にはフィットしていた。そして今回ご紹介する『がじゃいも』もドンピシャの世代である。
知らない人のために説明しておくと『がじゃいも』はとんねるずお得意の悪ふざけが炸裂した曲で、勢いで全てを押し切っていた曲といっていいだろう。イントロの前にタカさんの「がじゃいも~!」から始まる楽しく歌えるふざけた曲、それが『がじゃいも』だ。
・先輩、後輩と3人で飲んでいた
さて『がじゃいも』が引き起こした修羅場は、CDがリリースされてから7~8年後に起きた。当時の私は20歳を越えており、その日は仲の良い先輩と後輩の3人で酒でも飲んでいたと記憶している。ここでは仮に先輩を武藤さん、後輩を田中としよう。
詳細については覚えていないが、適度に酔っぱらった我々は普段から何かとポカをやらかす田中にお説教をしていたハズだ。田中は愛想だけはイイがだらしがない男で、それまでも特に武藤さんからはたびたび注意を受けていた。
簡単に言うと、田中には「すみませんでした」と言った1秒後に同じミスを繰り返すような間抜けさがあり、普段はそれも可愛げではあった。ただタイミングが悪いと周囲をイラつかせる大きな原因となり、特に地元が同じ武藤さんは田中を可愛がりつつも厳しく指導していたものだ。
・カラオケボックスで……
その日も一通りの説教を喰らいシュンとする田中。私が「もういいじゃないですか」と武藤さんをなだめ、我々はカラオケ店に向かうことになった。だが武藤さんはカラオケに行っても収まりがつかないようで、説教こそしないもののムスっとしていた。当然、私も含め誰も歌おうとしない。
沈黙はどれくらい続いただろう? 私はイヤな雰囲気を断ち切るため何か1曲歌ったハズだ。そして歌い終えた私が「さあ、もうここからは楽しくやりましょう! 乾杯しましょう! 乾杯!!」と言い終えるか言い終えないかの瞬間……何を思ったか突然田中が、
「がじゃいも~!」
……とマイクで元気いっぱいに叫んだのだ。
そう……田中は私が歌っているすきにコッソリ『がじゃいも』を入力し、律義に出だしからタカさんばりに全開で「がじゃいも~♪」と叫んだのであった。
その後の修羅場は言うまでもないが、武藤さんの「田中ァァァアアアアア!」という咆哮は、マイク越しの「がじゃいも~♪」よりも遥かに大きかったことは記述しておきたい。私も田中に「歌うのはいいけど、あのタイミングでがじゃいもはマズいぜ?」と真面目に注意したことを覚えている。
とにもかくにも、とんねるず世代の人ならばコントや番組はもちろんのこと、曲にも様々な思い出があるハズだ。私にとってはいい意味で『情けねえ』が第1位、そして悪い意味で『がじゃいも』が第1位の曲である。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
▼説教の直後に『がじゃいも』は危険だ。
https://www.youtube.com/watch?v=pyVWEm2Rbjo