「台湾って大麻が合法なんでしょ?」なんて声をたまに聞く。どこからそんな話が湧き出てきたのか不明だが、台湾において大麻は違法だ。罰則は日本よりも厳しく、外務省も海外安全情報で注意喚起をしているほどだ。
そんな台湾で、先日、男が大麻草を栽培し逮捕されたという。しかし、判決は薬物に関しては無罪! 栽培も違法でしょ? 一体、どんな “カラクリ” があったのだろうか。
・男が大麻を栽培して逮捕 → 無罪に
大麻草を栽培し逮捕されたのは、新北市の無職の男である。2017年11月、警察が男の実家がある嘉義市内の家屋内で12株の大麻草が栽培されているのを発見。男は逮捕され、検察に「違法薬物製造罪及び規制物品の無許可輸入」の罪で起訴された。
大麻草を精製して作られる「大麻(マリファナ)」は台湾でも禁止薬物のひとつだ。ドラッグに関する法『毒品危害防制条例』では薬物を第1級~4級に分類しており、大麻は第2級薬物。
そして、『全国法規資料庫』で公開されている最新版の法律を確認すると第2級薬物は「製造、運輸、販売した者は無期懲役もしくは7年以上の有期刑、並びに1000万台湾ドル(約3750万円)以下の罰金」とのこと。薬物製造を意図した栽培も違法だという。
それにも、かかわらず! 今回逮捕された男は無罪。大麻草栽培については何の罪にも問われなかったというのだ。
・なぜ罪に問われなかったの? その理屈が明らかに
男はビットコインを使って国外より種子を購入。そして栽培していたのだが、その理由が判決に大きな影響を与えた。「大麻草がどのように育つか知りたかったため」だというのだ。つまり、大麻草の栽培は「禁止薬物を製造する意図はなく、単純な知的好奇心によるものだった」ということである。
いやいや、そんな子供だましみたいな理由、通るわけない……と思ってしまうが、それが通ってしまったから驚き。その根拠はというと……
「栽培成功後に、販売をした形跡がない」
「(研究のために)さまざまな品種の栽培を続けていた」
「原料となる葉を採取した形跡がない」
「大麻精製のための設備がない」
「尿検査から大麻反応が出なかった」
とのこと。男は薬物の製造や自身や他人に使用させる意図がなかったと認められ、薬物に関しては罪に問えないというのである。
・ネットの声
なお、男は「規制物品の無許可輸入」については懲役6カ月執行猶予4年の判決が出たというが、大麻草栽培について無罪という点に台湾ネットユーザーからは疑問の声が出ている。
「そんな言い訳を信じるなんて!」
「裁判所の頭がおかしい」
「設備は同じ建物内になくてもいいって知らないの?」
「好奇心のため解剖したかったと言えば、殺人を犯してもいいってこと?」
「こんな判例を作っちゃって……やっちまったね」
なお検察が上訴するかどうかは明らかにされていない。何ともモヤモヤする判決だが……今後の展開が気になるところだ。
参照元:TVBS、ET Today、全国法規資料庫『毒品危害防制条例』(中国語)、外務省海外安全情報
執筆:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.