パワハラ・セクハラ・残業代未払い・長時間労働……などなど、ブラック企業の定義は様々である。ここ数年で働き方を抜本的に見直す風潮は少しずつ出てきているが、まだ日本には多くのブラック企業があるに違いない。

2017年11月27日、そのブラック企業の頂点を決める「ブラック企業大賞2017」にノミネートされた9社が発表された。2016年度は投票の結果「電通」が不名誉なブラック企業大賞を受賞したが、果たして2017年はどの企業がブラックの頂点に輝くのだろうか?

・ノミネートの定義

ブラック企業大賞2017にノミネートされた9社は、以下の定義によって選出されたという。

・労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的、恣意(しい)的に従業員に強いている企業
・パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人(学校法人、社会福祉法人、官公庁や公営企業、医療機関なども含む)

いずれも「確かにブラックだな……」と納得の理由である。それでは以下で『ブラック企業大賞2017』にノミネートされた9社をご覧いただきたい。

・ゼリア新薬工業株式会社

2013年4月にMR(医薬情報担当者)として入社した当時22歳の男性社員が、新人研修受講中の同年5月に自殺。中央労働基準監督署が男性の自殺は労災と認定した。

・株式会社いなげや

2014年5月、「いなげや」志木柏町店(埼玉県志木市)のチーフだった男性社員が勤務中に突然呂律が回らなくなり救急搬送され入院。一度は仕事に復帰したが、店の駐車場で倒れているところを客に発見され、意識が戻らないまま亡くなった。

・パナソニック株式会社

2016年6月、パナソニックデバイスソリューション事業部に勤務する40代の男性社員が自殺。砺波(となみ)労働基準監督署により「過労による自殺であった」と認定された。男性の残業時間は2016年5月で100時間を超えていたという。

・新潟市民病院

2016年1月、女性研修医が睡眠薬を服用して自殺。女性の月平均残業時間は187時間、もっとも長い月で251時間だった。

・日本放送協会(NHK)

2013年7月、当時31歳だった女性記者がうっ血性心不全で死亡。長時間労働による過労が原因であるとして労災認定された。亡くなる直前の1カ月間の時間外労働は159時間37分。遺族側の調査では、亡くなる直前の残業時間は209時間とされている。今年10月に公表され波紋を呼んだ。

・株式会社引越社、株式会社引越社関東、株式会社引越社関西(アリさんマークの引越し社)

男性営業社員をシュレッダー係に配転したり、懲戒解雇したりした。懲戒解雇においては、その理由を「罪状」などと記載して男性の顔写真を入れた書類(罪状ペーパー)を引越社グループの店舗に掲示。さらに、同様の文面を全従業員に送る社内報にも掲載した。

・大成建設株式会社、三信建設工業株式会社

東京オリンピック・パラリンピックで使用するメインスタジアム「新国立競技場」の建設工事の元請け企業である。今年3月、新人男性社員が自殺。新宿労働基準監督署は、男性の自殺は長時間労働による過労が原因の労災であると認定した。

・大和ハウス工業株式会社

2017年9月、埼玉西支社に営業職として勤務していた20代男性が違法な時間外労働をさせられ、同年6月29日付で是正勧告を受けていた。が、是正後も男性は多量の業務を課されており、2015年5月の残業は月109時間に到達。うつ病になった男性は退職を余儀なくされた。

・ヤマト運輸株式会社

パート従業員の勤務時間改ざんと賃金の未払いがあったとして、労働基準監督署から是正勧告を受ける。さらに残業時間上限を超える月102時間の残業を違法にさせていたとして、法人としての同社と同支店の幹部社員2人が労働基準法違反の疑いで福岡地検に書類送検された。

詳細については公式ホームページをご覧いただきたいが、自殺に発展するなど笑えない結末を迎えている企業も多い。

投票はすでにスタートとしており、大賞および各賞の発表は、12月23日の授賞式にて行われる。名だたる企業が多いだけに、注目を集めそうだ。

参照元:ブラック企業大賞
執筆:P.K.サンジュン

▼ノミネート企業発表記者会見の様子はこちらから。