ミクロネシア諸島の西部に位置するパラオ共和国。ダイビングの聖地、はたまた世界屈指の親日国として知られる南の楽園である。人口は約2万人、公用語は英語なので、意外と “コテコテのパラオ文化” に触れる機会は少ないが、例えば「コウモリのスープ」は古くから伝わるパラオグルメのひとつである。

正直、これまでの人生でコウモリを食したことがある人は多くないと思うが、果たしてどんな味がするのだろうか? つい先日、2回目のパラオ旅行に出かけてきた記者が実際に食べてみたのでご紹介したい。

・ポピュラーな食材

パラオ人が日常的に摂取するたんぱく質は魚がメインだという。牧場もあるにはあるというが肉のほとんどはアメリカなどからの輸入品で、古くから食べられてきたのは恵みの海がもたらした魚だったようだ(ガイドさん談)。

しかし、魚以外の貴重なたんぱく質があり、それこそがコウモリである。これはパラオに限ったことではなく、ミクロネシア諸島に共通する食文化だそう。グアムやバヌアツ、パプアニューギニアなどでも、コウモリは昔からポピュラーな食材だったようだ。

食用に使われるのは「フルーツバット」と呼ばれるコウモリで、その名の通りフルーツだけを食べるコウモリだという。超食べてみたいわけではなかったが、ガイドさんが「フルーツしか食べないから肉も甘い」と言うので、物は試しで味わってみることにした。

・第1段階はややグロい

訪れたのはパラオの中心部、コロール島の「モグモグレストラン」である。カニの看板が目印で、ガイドブックには超高確率で掲載されている有名店だ。今回はこちらで「コウモリのスープ(生姜風味)」をいただくことにした。お値段は30ドル(約3390円)である。

さっそく、やって来たコウモリのスープは……うむ、コウモリだ。コウモリが丸々1匹使用されており、わかっちゃいたが少々グロい。ただここまでは想定内。「さっそく味わっちゃおう」……と思った瞬間! 店の人がスープからコウモリだけを取り出したではないか!!



キャァァァァァアアアアア! スープから出るとコウモリ加減がエゲツない!! というか、コウモリの表情は完全に断末魔の雄叫びをあげており、軽くトラウマになるレベルであるッ!! やべえ、美味しくいただく自信がなくなってきた……。

店員さんが言うには「まずはスープだけ飲んでて」とのことで、コウモリ本体は別で盛り付けて出してくれるという。そして10分ほどでやってきたコウモリは……。



ギャァァァッァアアアアアアアアアア! 悪魔仕様になってるぅぅぅうううううう!! 目に唐辛子刺さってるんですけどこれは意図的ですか! 意図的なんですか!! 全然オシャレじゃないんですけど! こんだけ食欲が湧かないデコレーションもなかなかないッスよォォオオオオ!!

・魚の血合いみたいな風味

勇気を振り絞って食べたコウモリは、知らなければ普通の肉。風味としては、まぐろやカツオなど赤身の魚の “血合い” の部分に近かったように思う。基本的には嫌いじゃない味なのだが、ぶっちゃけ1口食べてギブアップ。残りは隣のテーブルにいた日本人観光客におすそ分けしてしまった。

結果的には味うんぬんより「スープIN」「スープOUT(断末魔)」「悪魔スタイル」の3段階でヤバかったコウモリのスープ。ラオスやインドネシアでも食べられるそうなので、機会があればぜひチャレンジしていただきたい。

Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
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▼パラオの伝統料理。「メチャメチャ美味しい!」ってわけではないが、適度に美味しい。

▼シャコ貝の刺身。とんでもない歯ごたえだった。

▼そしてコウモリのスープ第1段階。うむ……まだ想定内だ。

▼第2段階。コウモリ感がヤバい。

▼最終形態。なぜ目と口に唐辛子をデコレーションしたのか?

▼味は赤身魚の “血合い” に近かった。機会があればぜひどうぞ。

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