SNS は若者の心の健康を蝕んでいる……2017年5月、そんな調査結果がイギリスで発表された。多くの若者が、SNS依存やネットいじめに苦しみ、他人の投稿と自分を比較して劣等感や不安感を抱いているというのだ。
SNS はリアルではない。作られた虚像の世界だ。だから、そこから抜け出して現実の世界にやってきて……! ある女性は、そう、自身の “別人すぎるビフォーアフター写真” とともに若者へ呼びかけている。
・この2枚の写真……マジで同一人物!?
ビフォーアフター写真を公開したのは、ヘアスタイリスト&モデルとして活躍するウルスラ・ゴフさん。
2枚の写真には、髪の毛をピンクと紫色に染めた美女が写っている。どちらも華やかな顔立ちだが、雰囲気や肌や髪の質感なんか全然違う。別人か……と思ってしまうが、この “2人の美女” は両方ともゴフさんなのだ。
2枚はたった数日の間で撮影されたものだというが、ううーむ、1人の人間がこんなに変わるものなのか。写真ってスゲエなあ……と、これこそゴフさんが伝えたいことだ。
「ライティング、アングル、表情、メイクだけで、写真の出来にここまで大きな違いが出てくる」と述べる彼女は、なぜ自分がこのような写真を公開したか、次の通り説明する。
「SNSを見ていると、自分以外のみんなが素敵な、パーフェクトな生活を送っていると思ってしまう。でも実際はそうじゃない。美しく撮られたセルフィーや、完璧な生活の裏には、普通の人間がいることを忘れないで。どの写真だって手が加えられているのだから、仲間内で比べあうのは全く意味のない行為」
・ゴフさん「今の若者はとてもツラい思いをしているはず」
こんなにおいしい物を食べた、こんなに美しい場所を旅行した、私ってこんなにキレイ……などなど、時として SNS 上では自慢合戦が繰り広げられる。それに対し、ゴフさんはこう語る。
「私が現代の10代だったら、とてもツラい思いをしているだろう」「自分以外のみんなが完璧……今の時代の若者は、これまでの若者よりも苦しんでいる」。現在の SNS と若者をとりまく現状をなんとか変えたいと考えているようだ。
・「現実世界には完璧なものなど存在しない」「SNSの写真は本物ではない」
その解決案として、以下のことが必要だとゴフさんは主張している。
「みんなが少しずつ “本当の姿” を見せていくことが解決のカギ。みんなが SNS に出回っている写真が本物ではないと知ることが大切」
「現実世界には、完璧なものなど存在しない。生きることはグチャグチャしていて、誰にだって欠点はある。幸せになるには、自分自身を磨くこと。他者と比べることではない」
そして最後は「自分がしたいことをやって。好きなことを見つけ、自分がどうなりたいか考え、目標にむかって実際に足を踏み出して」と締めくくっているのだった。
・2015年に投稿されたこのビフォーアフター写真
実はゴフさんのビフォーアフター写真は、2015年に掲載されたもの。この度、英メディア『indy100』に取り上げられたことで再び注目を浴びているが、2年経っても、冒頭の通り多くの若者が SNS を巡って苦しみ続けている。
現在、“SNSを使いすぎているユーザーへの警告” や “加工された画像が見分けられるシステム” など、若者を守る方法も考えられている。だがそれと同時に、ゴフさんのように「他人と比べないで」「本当の姿を見せて」と周囲に訴え続け、かつ自分にも言い続けていくことが大切だろう。
参照元:indy100、BBC News(英語)、Facebook
執筆:小千谷サチ
▼SNS写真は嘘をつく。こんなふうにね!
*画像がスマホ画面からハミ出ちゃう人は、スマホを横向きにしてみてね。