食事の前には「いただきます」。食べ終わったら「ごちそうさま」。当たり前のことである。幼稚園児だってやっている。しかし、我々は大人になるにつれ、この当たり前ができなくなっているように思うのだ。

聞きたいのだが、あなたは外食して店を出る時に「ごちそうさま」と言っているだろうか? 必ず言う! という人と、別に言う必要なくない? という人とで意見が真っ二つに分かれると思うのだけど。そこで今回は、飲食店を出るときの「ごちそうさま」について考えてみたい。

・「ごちそうさま」って言う?

先日、ファミレスで「ごちそうさま」を言わない彼氏を彼女が殴った、というような内容のツイートが話題になった。私の場合は必ず言うようにしているのだが、もしかしたら「ごちそうさま」と言うことに気恥ずかしさを感じている人は多いのかもしれない。

また、「ごちそうさま」は食材への感謝! 料理を運んでいるだけの店員に言わなくてもいい!! という意見をネットで見かけたことがある。だがこの場合の「ごちそうさま」は、食材に対してだけでなく、サービスの提供側に対する感謝の気持ちを表していると思うのだ。

・言って損はない

一度でも飲食業を経験したことがある人ならわかるはずだが、「ごちそうさま」と言われて嫌な気分になることはまずない。言ったところで誰も不幸にならないのなら、言うに越したことはないと思うのだがどうだろう。抵抗があるという人も、とりあえず声に出すといい。それで損をすることはないのだから。

・言う店と言わない店

さて、話は少々変わるが、このことに関連して1つ思うことがある。実は、店によって「ごちそうさま」を言う言わないのラインがあるのでは? という疑問である。どういうことか、具体的に説明していこう。

例えば、個人でやっているオシャレな居酒屋やバー。そこで帰り際に感じのいいマスターに「ありがとうございました」「お気を付けて」などと言われたら、普段は何も言わない人でも「ごちそうさま」と言ってしまうのではないか。場の雰囲気に負けてしまうというか。

・無意識の差別

もしかすると、先述のファミレスの “「ごちそうさま」不要派” は、知らず知らずのうちにその店をランク付けし、このレベルの店なら言わなくてもいいと思っているのかもしれない。イイ感じの店なら言うけど、こんな安いチェーン店の、しかもバイトの店員には言わなくてもいいだろうと、心のどこかで思っているのかもしれない。

・言った方が平和

もちろんただの想像に過ぎないが、私としては感謝の言葉は誰にでも平等にかけられるべきだと思うし、そういった職業差別的な考え方は好きではない。ファーストフードの代表格のような牛丼屋でも、せいぜい400~500円の支払いだが、「ごちそうさま」と言って帰る方がなんだか平和でいいじゃないか。まあ、聞こえてない時もあるけど。

・口に出すことの大事さ

こういうことを書くと、「本当に感謝しているのか」とか「軽い気持ちで言うのは逆に失礼」とか言ってくる面倒な人も出てきそうだが、言った方がいいに決まってるだろ。何でもそうだが、思いはとにかく口に出さないと始まらない。自分の中だけで完結してしまい、誰にも伝わらないのだ。

バイトをしていた頃、「なんだこの客うぜぇな」と思っても、帰りに「ごちそうさま」と言われたら許せてしまうことは何度もあった。すごい! 魔法のような言葉じゃないか。こんな便利な言葉、使わない手はないと思うのだが、あなたはどう思うだろうか?

執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.