「漢字で書いてくれたら意味が分かったのに!」って歯がゆさ、日本人なら誰もが一度は経験したことがあるかと思う。例えば、タヌキコージと書いてあった場合、札幌市民の頭に浮かぶのはアレしかないだろう。しかし、道外出身者の中には「田貫 浩二さん」と思う人だっている……かもしれない。

つまるところ、「平仮名や片仮名で書くと、人によって全く異なるものをイメージしている場合がある」ってこと。それを踏まえた上でお聞きしたいのが、バンチョウだ。そう聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか? 高級な方のバンチョも、頭によぎっているだろうか?

・勘違いが原因で知った「バンチョウ」

こんなことを書いている私だが、数日までバンチョウと聞いてイメージするのは、リーゼントと学ランに代表されるアレしかなかった。つまり、番長である。それ以外の言葉もあるだろうが、パッと頭に浮かぶのは昨年引退した横浜の三浦投手であり、清原和博氏の顔だったのだ。

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そんなもんだから、先日私が東京出身の人と会話をしているときに、「バンチョウ違い」で盛大なる勘違いをしてしまったのである。何があったのかと言うと……

「バンチョウに住んでいるお金持ちのお客さんがさ〜」

という東京出身者の一言。この言葉が耳に入った瞬間、私の頭の中で勘違いが勘違いを呼び、とんでもないところに着地していたのである。

その流れを矢印で表すと……

・勘違いの流れ

番長に住んでる? → 番長の家に住んでるってことか → 金持ちを自分の家に住ませてるんだから相当お金を持ってる番長なんやろうなあ → ってことは経済ヤクザ的な感じ? → そんな経済ヤクザと一緒に住む金持ち……あっ(察し)

という感じだ。

その後、私の頭の中は “白い粉と注射針の跡が無数に残る腕” でいっぱいになったため会話が全く噛み合わず……。やがて、自分の「勘違い」に気づくことになったのだ。もうすでにお分かりの読者も多いだろう。そう!

・高級なイメージの「バンチョウ」とは?

上の会話でのバンチョウとは、番町。すなわち、エリアのこと。どこにあるのかというと、東京都千代田区。その一番町から六番町までを「番町」と呼ぶのだそうだ。

ちなみにこの番町、江戸時代には旗本たちが住んでおり、明治になると華族の屋敷が並んでいたらしい。早い話が、むっさ由緒正しき地区であり、現在もバリバリの高級住宅街なのだそうだ。

し、知らなんだ……。東京の高級住宅街といえば、麻布とか白金くらいしか頭になかったで。まさか、「バンチョウ」が東京の高級住宅街だったなんて……。語感的な裏切りがハンパないって。

——と、私は思ってしまったのだが、一方で「そんなの常識だろ!」と感じている読者はきっと多いことだろう。でも、本当に「番町」は常識なのだろうか? 気になったため、私が編集部内で「番町」について聞いてみたところ……

・知っていったのは1人だけ

島根県出身の佐藤英典、大阪府出身の中澤星児、北海道出身のあひるねこは、「番町」を知らず。さらに! 東京出身のGO羽鳥、Yoshioに聞いてみたところ……

GO羽鳥「リーゼントのアレ?」

Yoshio「パチンコの方のバンチョウなら知っている」

という返答が……。つまり、東京出身の2人も含めて、編集部内のほとんどの人が「番町」の存在自体を知らなかったのだ。そんな中、唯一知っていたのが千葉県出身のP.K.サンジュン。どうやら、知っている人にとっては何でもない知識のようだ。

どうだろう? あなたにとっては常識だっただろうか? それとも「リーゼントの番長しか浮かばなかった派」だろうか? 

どちらにせよ、あなたも「高級住宅街のバンチョウって知ってる?」と回りの人に聞いてみると面白いかも。誰かの口から、チンプンカンプンな答えが飛び出すかもしれないから。

参考リンク:千代田区「町名由来板」
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.