子育てする男性(メンズ)、略して『イクメン』。「あのお父さん、子供のお弁当を作るんだって。イクメンだよね!」などと、 子育てに積極的な男性を褒めるときに使われることが多い。

褒められれば誰でも嬉しい……と思いきや、世の中には、“イクメン” だと褒められることに違和感を覚えている人もいるようだ。今回も、ある男性が「イクメンだと褒めないで!」とSNS上に投稿し、多くの賛同を集めた。なぜなのだろう?

・母親がいないときに、誰が子供たちの面倒を見るのか?

その男性は、米オレゴン州在住のジェレミー・マーティン=ウェバーさん。出張で家を数日空ける妻ジェシカさんに変わって、6人の子供の面倒を1人で見ることになったと Facebook 上に書き込んだ。

投稿でジェレミーさんは、妻の不在中に行わなければならないことをリストアップ。例えば……

ご飯を作って、子供たちに食べさせる。
時間通りに子供たちを学校に送り出す。
子供たちが悪い夢を見たら慰め、また眠りにつかせてやる。
その日にあったことを話す子供の声に耳を傾ける。
子供に本を読んでやり、外で遊ばせ、一緒に遊ぶ。
親切、愛、忍耐、話を聞く態度、共感、強さ、勇気を子供たちに教え、模範となる。

……など。うーん、なんだか大変そう。思わず「スゴい! イクメンですね!!」と褒めたくなってしまう。

・「当たり前の行為を称賛しないで」

だが彼は、これらの行為は当たり前のことであって、褒められるべきではないと主張。「私は子守りではなく、子供たちの父親だ。子供を世話をして、導き、愛してやる責任を負っている」と述べた後、以下のように続ける。

「お父さんが子供の面倒を見ているから、家のことがグチャグチャになったり、子育てがダメだなんてことは決してない」

「 “あのお父さん、ちゃんと子供の面倒を見て偉い” と称賛されることがあってもならない。私はただ、すべての親がやらなければならないことをやっているだけだからだ」

また「世の母親たちが、称賛も受けずに、ごく当たり前にやっていることを私もやっているだけ」と、父親が子育てをすると褒められるのに、同じことをやっても母親が褒められない現状を指摘する。

そして「パートナー同士がお互いに感謝しあっていればそれで十分だ」と締めくくった。

・多くの父親が親としての荷を平等に担う世界

この投稿は、1500回以上シェアされて話題に。「よくぞ言ってくれた」「たしかに1人で出かける母親は “子供の面倒を見ないダメな母親” だと責められるのに、父親だと何も言われない。その違いっておかしいよね」といった賛同が集まっている。

中には「“当たり前” なら、わざわざ Facebook 上で言いふらさなくてもいいじゃないか」なんて声も聞かれたが、それに対してジェレミーさんは「当たり前だけれど、そう思っていない人も大勢いる。父親が子育てに平等に参加するのが当然な社会になってほしいから投稿した」と説明している。

・“イクメン” は特別なことではない

以前、在日歴が長い外国人が「 “お箸使うのが上手だ” と褒められると、複雑な気持ちになる。お箸を使うことは、自分にとって特別でもなんでもない。日本人だって、ナイフとフォークを使うのが上手でしょ」と話していた。たしかに今の日本でナイフとフォークを使っても、誰も「上手だね」と褒めたりしない。使えるのが “当たり前” だからだ。

でも男性の子育ては “当たり前” とは思われておらず、だからこそ “イクメン” だと褒められる。今後、男性の子育て参加が普通のこととなれば、“イクメン” という言葉も自然と消滅するのではないだろうか?

参照元:Facebook(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24.

▼こちらがジェレミーさんの投稿だ