
みなさん、ビュッフェはお好きだろうか? 平たくいえば “食べ放題” である。「落ち着かない」などの意見もあるだろうが、私(P.K.サンジュン)はビュッフェに行くとついついテンションが上がってしまうタイプの人間だ。
好きなものを好きなだけ食べられるなんて最高ォォオオオ! ……基本的にはそうなのだが、食べ放題といえどシチュエーションによっては気を付ける必要があるかもしれない。今回は私が体験した、ビュッフェで会社の上司にブチギレられた話をしよう。
・社会人になりたての頃の話
あれは今から14~5年前のこと。私が社会人になりたての頃の話だ。スーツ姿にもようやく慣れ、パソコンも何とか扱えるようになり、さらには軽い仕事なら任せてもらえるようになった時期のことである。
当時の私は「証券系のコンサルティング会社」という、お高いような怪しいよう、いま思い返しても実に不思議な会社に勤めていた。会社がどんなビジネスモデルなのか誰も説明できないのに、オフィスは東京駅八重洲口の一等地、しかも竣工仕立ての最新ビルの最上階にあるような、
「よくわからないけど、儲かってそうな会社」
に勤めていたのである。
・本物の変人だった社長
社員は10人ほどで、私は最も若く最も社会人経験の少ないルーキーであった。少人数なので社長との距離も近く、高そうなセルシオで出社する社長のドライバー役もすれば、バイク便代わりにタクシーを飛ばし、社長の忘れ物を取引先まで届けるような雑用もした。要するに使い走りである。
当時60歳手前だった社長は、私の人生で出会った中でもTOP3に入るくらい変わった人で、まさしく “変人” と呼ぶのにふさわしい人物だった。イチイチ書いていたらキリがないが、とにかく凄かったのは「永遠に怒鳴っていられる才能」を持っていたことだ。
普通、人間は怒っても数分で怒りが収束してしまうものだろう。仮にブチギレたとしても、沸点をキープできる人は滅多にいない。だが社長は違った。大げさではなく、何時間でも怒鳴り続けられるのである。いったん怒り始めたら強弱などなく、ひたすら “強” で怒鳴り続けられるのだ。あれはマジで凄かった。
しかも、社長は天才と変人の狭間にいるような人で、1日平均2回は怒鳴り声を上げていた。1度だけ1回も怒らずに1日が終わったとき、社員同士、無言でお互いの顔を見つめ合ったものである。
──話がそれてしまったが、その社長と社長の奥様、さらには上司、そして私の4人でヒルトンホテルのディナービュッフェに出かけたときのことだ。その日、社長はホテルで開かれるパーティーに参加することになっており、時間が空いたため、私と上司をビュッフェに連れて行ってくれたのである。
・ヒルトンホテルのディナービュッフェへ
奥様もいたせいか、そのときは珍しく上機嫌だった社長。束の間ではあるが、普段は見せない “プライベートの顔” を私は初めて見た気がした。正直、この時点でいつもは軍隊レベルに張りつめている緊張感が緩んでいたのだろう。簡単に言えば、油断してしまったのだ。
さて、ヒルトンのディナーだが、これがマジで凄かった。一言で表すならば、ゴージャス以外の何物でもない。私は人生で初めて目の当たりにした超一流ホテルの高級ビュッフェに、社長といることも忘れすっかり舞い上がってしまったのだ。
中でも特に私のテンションを最高潮にさせたのが「生ガキ」であった。私は友人に「俺が死んだら鼻に生ガキを詰めてくれ」と頼んであるほど、生ガキに目がない。しかもヒルトンの生ガキはケチ臭い小さな代物ではなく、ご立派としか言いようがない最高級品であった。
まず、皿に生ガキを5個のせてテーブルに戻る私。生ガキなんて飲み物みたいなものなので、あっという間に瞬殺した。2ターン目、テーブルから離れて1分後に戻ってきた私の皿にはまた5個の生ガキが。このとき私はヒルトンの生ガキに魅了されすぎて、社長の顔色の変化に気付いていなかった。
──そして3皿目を食べ終え、4皿目を取りに行こうとしたとき。社長が烈火のごとく……私にとっては日常だったが、怒鳴り始めたのだ。
「貴様ァァァァァァアアアアアアアア! 貴様なんてみっともないことをしてくれたんだ!! 親御さんからどんな教育を受けて来たんだ! お前といると恥ずかしいよ! だいたいお前は……」
この20倍くらいの怒号を浴び、時間にすると3分ほどの激ギレタイムは終了した。私にとっては3分なんぞ余裕であったが、店中の人の視線がテーブル上の15個の牡蠣の殻に集まるのはとても恥ずかしかった。
今思えば、私が悪かったと思っているし、確かにみっともない行為であることは否めない。食べ放題なので何を食べてもいい。好きなだけ食べればいい。ただし、シチュエーションによっては多少の配慮が必要なケースがあることも覚えておこう。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
▼人生、牡蠣だよネ☆
P.K.サンジュン







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