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今から7年前のことだ。私(佐藤)は東京・南千住にあるたこ焼き屋さんを訪ねた。そのお店「パワーブレンドTANAKA」はとても変わったお店で、超能力で味を変えるたこ焼きを提供していた。何を言ってるかわからないと思う。私も何を説明しようとしているのか、自信がない。とにかくそういうお店があった。

取材から7年を経て、最近再び南千住を訪ねる機会があったので、お店に寄ってみることにした。住所地に赴いてみると……。おお! お店は健在。店主も元気そうだ。何だか安心した。そして再びパワーブレンドの “味の変わるたこ焼き” を食したのである。

・パワーブレンドの秘密

お店の目の前には、小学校があり、子どもたちの元気な声が聞こえている。おそらく、子どもたちの憩いの場として、このお店は親しまれているのだろう。私が7年前にこのお店を訪ねたのは、テレビ番組か何かで変わったお店として紹介されていたからだったと思う。

初回に訪ねた時には、女子大生風の4人組が店内にいて、たこ焼きを食べながら店長の話に耳を傾けていた。店主が「あっさり」と言って指をパチンと鳴らすと、そのたこ焼きがあっさり味に変化したらしい。彼女たちは「ウソ―ッ!」といって、大変驚き感動していた。

私もその時、味の変化するたこ焼きを食べている。たしかに変わったように感じられた。その取材時の説明にはこうある。

「彼の考えによれば、まず物には全て言葉を理解する力がある。これを『物質頭脳』と呼ぶ。物質頭脳は全ての根源であり、神がつくり出したものなのだそうだ。この物質頭脳に命令を出して「あっさり」や「こってり」といった味になるように働きかけている」(2010年取材時の内容)

店主によれば、「念波」(超能力の一種)によって、あらかじめ物質頭脳に命令を出しておく。そして「指を鳴らす」などをきっかけに、その命令を発動させるのだ。たこ焼きを例にすると、事前に「あっさり」や「こってり」など命令をしておき、指鳴らしでその味を発動させる。これにより味が変化することになる。

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・たこ焼きを冷まして味変化

さて、ここまで理解できただろうか? 最後までこのレポートについて来て欲しい。以前訪ねた時と比べて、店主は少し元気がなさそうだ。店内の興味深い貼り紙も多少減った気がするのだが。私はたこ焼き4個(200円)を注文して、1つを普通に食べて、残りの3つの味を変えることにした。

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たこ焼きが熱すぎると、味の変化に気づきにくいので一旦器に置き、半割にして熱を冷ます。

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・味の変化は7通り

そして、壁に貼ってある「チャレンジ3」の説明に倣(なら)って、器を箸で叩く。店内の食べ物はすべて入力済み(念波が入っている)ので、後はきっかけを与えるだけだ。この場合のきっかけとは、「器を箸で叩く」である。

1回なら「元味」、2回で「あっさり」、3回で「こってり・こくまろ」、4回で「クリーミー」、5回で「濃い味」、6回で「薄味」、7回で「自分の味」。

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・店主の力

箸で器をチンチン! と叩きながら、味の変化を確かめる。あっさりとこってりを繰り返してみたが、いまいち変わった気がしない。その様子を見ていた店主は、「わかった?」と尋ねてくる。正直に「わかりません」というと、店主は「クリーミー」と言って指をパッチン!

すると……、お! クリーミーになった気がする!! 続けざまに店主は「あっさり」と言って指パッチン! そうすると、あっさり味になった気がする! やっぱ店主がやると違うようだ。何より私が安心したのは、いまだにお店が存続し、店主が経営を続けていることだ。これからも子どもたちに愛されるお店として、長く続いて欲しい!

・今回訪問した店舗の情報

店名 パワーブレンドTANAKA
住所 東京都荒川区南千住7-4-7
営業時間 12:00~売切れ次第終了
定休日 水曜日

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24