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世界中の猫を撮ることで有名な写真家といえば、岩合光昭さんを思い浮かべる人も多いだろう。しかし今、Instagram 界で “日本の猫を撮らせたら世界一” なる人物が話題を集めている。それが、写真集『ぶさにゃん』でも有名な猫写真家の沖昌之さんだ。

彼の Instagram には、ほぼ毎日、路上の猫たちの写真がアップされる。その1つ1つに何千もの反応があり、コメントもどっと寄せられる。海外にも多くのフォロワーがいて、ロケットニュース24英語版が紹介したときにも大きな反響があったようだ。

ならロケニュー日本版だって負けちゃあならねえ! そこで今回は沖さんに猫を撮ることについてお話を伺ってみたぞ!!

・表情豊かな猫がい〜っぱい

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日々、路上で撮影された猫の写真ばかりがアップされる沖さんの Instagram ページ。くしゃみをしかけている猫の顔のアップや、舐めあう2匹の猫、トコトコと夜の路地を歩く子猫など、彼のページはいつだって表情豊かな猫で賑わっている。

どの子も野良猫なんだなあ……と沖さんに話を伺ってみたところ、彼はまず「野良猫ではない」とやんわりと訂正してくれた。

「僕も最初は野良猫だと思って撮っていたのですが、地域の方々が避妊や食事を行って世話をしている地域猫でした」

そう聞いて写真を眺めなおしてみると、耳に三角形の切り込みが入った猫もいる。うん、これってたしかに「地域猫」の証しだよね。

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・猫を撮影する上での5つのルール

そんな沖さんは撮影中に、以下の5つのことを守っているそう。猫に迷惑をかけないため、ひいては良い写真を撮るための約束事だ。

ルール1:どんなに仲良しの猫であっても、ゴハンをあげない。
ルール2:猫の食事中、排泄中は写真を撮らない。
ルール3:猫がお昼寝しているときは、目を覚まさせたくないので遠くから撮る。場合によってはスルー。
ルール4:写真を撮らせてくれる猫たちに、感謝の気持ちを伝える。
ルール5:猫の気持ちを考慮する。

まず仲良しの猫であってもゴハンをあげないのは、「物理的にも精神的にも距離が近づきすぎて、自然な猫の姿が撮れなくなるような気がするから」という理由があるとのこと。

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食事や排泄、お昼寝などに気を配るのも、猫の生活を邪魔しないためのマナー。写真を撮らせてもらう猫たちに感謝の気持ちをこめて撫でたりと、こちらの気持ちを伝えることも大切だ。懐いてくれる猫たちの元に撮影帰りに再び立ち寄って、「次会う時まで元気に生きてて。またね」といっぱい撫でるとのこと。

また猫の気持ちを考えて、「かわいいね」と声をかけたり、プライドを傷つけないように猫が何かに失敗しても見て見ぬ振りをすることも忘れてはならないそうだ。

「可愛いなと思ったら、その通り言葉で伝えます。そうすると、可愛らしい仕草や表情を見せてくれることもあるんですよ」

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・お外の猫を上手に撮影するコツは?

なるほど。小さな気配りが重なって、様々な表情の猫たちが撮影できるんだなあ。さらに沖さんは、気前よく「路上の猫を撮影する」コツを教えてくれた。

コツ1:興味なさげに猫に近づく
「猫の写真を撮りたい!」という気持ちを前面に出しすぎると、逃げられてしまうこともしばしば。そこで “興味なんてないよー” と横切るふりをして近づけば、逃げないでいてくれる猫も多いらしい。

コツ2:猫の目線もチェック!
対象の猫だけでなく、猫の目線もチェック! 沖さんによると「猫が見ている方向に、別の猫がいることもある」のだとか。他の猫を気にする猫っているいる!! この “第2の猫” の存在で、写真の構図が大きく変わってきそうだ。

コツ3:望遠と単焦点のレンズを使い分ける
人間が近くにいると緊張してしまう猫などに対しては、レンズを使い分ける。「最初に望遠で撮影して、近づけそうだったら単焦点にレンズを変更しています」。

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・“外の猫 = かわいそう” なだけではない

日夜、猫の姿を求めて街に繰り出す沖さん。継続した撮影を続けてきたからこそ、猫について新たに気付けたこともあると話す。

「かつては “猫は群れるのが嫌い。他の猫や人間が苦手” なんてイメージを抱いていました。でもそれは間違い。猫にだって会えば必ず挨拶する仲良しの猫友達や、自転車の音が聞こえただけで “あの人が来るんだ!” としっぽをピーンと立てて喜ぶほど大好きな人がいるんです」

また怪我や病気だったり、小さな子供に追いかけられる猫を見かけて心が痛むときもあるという。けれども、“外の世界で生きる猫 = かわいそう” なだけではないと、写真を見る人に伝えていきたいとも語る。

「猫の暮らしにも躍動感がみなぎったり、穏やかな雰囲気や愛があふれる瞬間があり、猫たちはそんな一瞬一瞬を懸命に生きています。僕は猫たちの楽しそうで美しい姿を撮っていきたいと思っています。そして見る人に “猫の世界って楽しいな” と元気を出してもらえると嬉しいです」

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沖さんの写真には「爪とぎ中に変な顔になっちゃう猫」や「 “気持ちいい〜” という声が聞こえてきそうな表情の猫」、「愛おしそうに子猫を舐める母猫」など、たしかに猫たちの躍動感や愛が表れている。

・6/20から北千住のコーヒー屋さんで写真展も

私(筆者)は猫を飼っているので、猫について十分知った気になってしまうことがある。でも沖さんの猫たちを見るたびに、「こんな猫の表情、はじめて見た!」と新鮮な驚きを感じるのだった。

新潮社から写真集が出たり、猫雑誌の王様『猫びより』で連載が決まったりと活躍中の沖さん。2016年6月20日から26日まで、東京北千住の『SLOW JET COFFEE』にて写真展も開催されるとのこと。これまで撮り貯めた写真の中から、お気に入り作品をパネルにするそうなので、気になる人は要チェックだ!

参考リンク:Instagram @okirakuoki野良ねこちゃんねる。 SLOW JET COFFEE
Report:小千谷サチ
Photo:沖昌之 / OMasayuki Oki, used with permission

▼お顔がギュッとなっちゃっている猫
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▼この表情、たまりませんな〜
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▼表紙のニャンコがとっても印象的な、写真集『ぶさにゃん』
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