以前の記事で、私(佐藤)が「職務質問」や「持ち物検査」を受けたことについてお伝えした。何もしてないのに、何か悪いことをしたように調べられるのは、正直不快である。ある時には、下を向いただけで「怪しい」みたいなことを言われて……。言いがかりじゃないの? と思ってしまうのだが、職質や持ち物検査って任意だよね? 断れないのか?
そう思って専門家に質問したところ……。結局断れないじゃないか……。
・断る方法はないのか?
質問にお答え頂いたのは、アディーレ法律事務所の鈴木淳也弁護士である。特に理由がないのに、不審に思われて足止めを食らうのは、全然解せない。そこで何か良いかわし方があるなら知りたいと思ったのだが……。鈴木弁護士の説明は以下の通り。
・問:「職務質問や持ち物検査を拒否することはできますか?」
答:「職務質問の根拠は “警察官職務執行法第2条1項” に記されています。わかりやすく言いますと『何らかの罪を犯した、あるいは犯そうとしている。または既に起きたか、これから起きる犯罪に対して何か知っていると思われる人は停止させて質問ができる』ということです。それに付随する物であれば、同項を根拠に認められているというのが判例とされています。
職務質問は、犯罪が発覚する糸口になることが多いことから、法律上認められているのです。とはいっても、あくまで任意とされていますので、拒否することはできますし、拒否したからといって無理やりパトカーに乗せられることもありません。
ただし、職務質問は、すでに行われた犯罪を早期に発覚させ、または犯罪を未然に防ぐという目的があることから、職務質問を断るということは、もしかすると犯罪を行ったのではないかと判断されてしまう可能性が高いです。
そうなった場合、非常に厄介なことになってしまいます。判例において、職務質問の際は、犯罪を行った可能性や職務質問の必要性に鑑みて、強制に至らない程度の有形力の行使をすることが出来るとしています。そのため、立ち去ろうとしても追いかけてきて説得したり、複数の警察官がやってきて圧力をかけられることもあります。
『邪魔だ、どけ!』と警察官を押してしまったりすると、公務執行妨害で現行犯逮捕されてしまう可能性もあるので注意が必要です。対処法としては、絶対に手を出さない、そして知り合いの弁護士を呼んだり、家の中に入ったりするなどありますが、やはり面倒であれば、職務質問に応じてしまう方がいいと思います。
そうはいっても、職務質問を断ることを理由に数時間もその場に止められていた場合は、状況によっては任意の範囲を超えて違法とされる可能性もあります。
所持品検査についても、任意とされていますので、勝手にカバンを開けられて中身を取り出されることは強制となるため警察は行うことはできませんので、もしも行った場合は違法行為です。断った場合、職務質問と同様に、警察は説得を行うことになりますが、もちろん断り続けることもできることにはなります。
最後に言えることとしたら『怪しい格好は控えましょう!』ということですね」
・結局断れないのか……
断れない……。というか、断るとかえって余計に時間がかかることもあるようだ。鈴木弁護士は最後に、怪しい格好は控えようって言ってるけど、私はやっぱり怪しいのか……。ぼく、わるいスライムじゃないよ!
取材協力:アディーレ法律事務所(東京弁護士会所属)
執筆:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24