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レコードからCD、そしてデジタルデータへと進化したオーディオ媒体。現在はCDを購入するよりも、データそのものを購入するのが一般的になっているのはご存知の通りだ。そんな中、ここ数年注目されているのが「ハイレゾ」である。

家電量販店に行くと、スマホもハイレゾ、スピーカーもハイレゾ、イヤホンやヘッドフォンもハイレゾ……もう、そこら中ハイレゾだらけである。そこで今回は、ハイレゾとは何なのかを調べてみたのでその内容をお伝えしたい。

・「ハイレゾ」の語源

はじめにハイレゾの語源から説明していこう。ハイレゾはハイレゾリューション(High Resolution)の略であり、直訳すると、High=高い、 Resolution=解像度となる。つまりハイレゾは「高い解像度の音楽用データ」を指す言葉なのである。

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このハイレゾ、今から約2年前の2014年3月に、電子情報技術産業協会(JEITA)によって定義などが発表されたようだが……それは果たしてどんなものなのか?

・「サンプリング周波数」と「量子化ビット数」

オーディオに詳しい方はすでにご存知かと思うが、ハイレゾを理解するには、kHz(キロヘルツ)という単位で表す「サンプリング周波数」と、bit(ビット)という単位で表す「量子化ビット数」を理解する必要がある。

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これらが音質に及ぼす影響を言葉にすると、サンプリング周波数が示しているのは「高音の伸び」、量子化ビット数が示しているのは「音のキメ細かさ」と言える。要するに、kHzの値が大きければ大きいほど高音がより高いところまで表現でき、bitの値が大きければ大きいほどよりキメの細かい音の表現が可能となるわけだ。

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・ハイレゾの定義

以上を踏まえ、JEITAが発表したハイレゾの定義をみると……ハイレゾとは「CDスペックを超えるデジタルオーディオ」のことで、さらに詳しく言うと、サンプリング周波数と量子化ビット数が44.1kHz /16bitを下回ることなく48kHz /16bitを超えるスペックのオーディオデータのことだという。

なお、スペックの具体例は以下の通りだ。

【具体例】
44.1kHz /16bit:CDスペック
48kHz /16bit:CDスペック
44.1kHz /24bit:ハイレゾ(ビット数がCD超)
48kHz /24bit:ハイレゾ(ビット数がCD超)
96kHz /16bit:ハイレゾ(周波数がCD超)
96kHz /24bit:ハイレゾ(両方CD超)
96kHz /12bit:非ハイレゾ(ビット数がCDより低い)
32kHz /24bit:非ハイレゾ(周波数がCDより低い)

現在最も流通しているハイレゾのスペックは96kHz /24bitと192kHz /24bitである。これをCDの情報量と比較すると……96kHz /24bitではCDの約3.26倍192kHz /24bitではCDの約6.52倍にもなる。なんともハイレゾの解像度の高さがうかがえる数値だ。

・ハイレゾを聴くために必要なツール

続いては、ハイレゾを聴くために必要なツールについてだが、ハイレゾ用のオーディオデータやアプリ(ソフト)があれば済むのでなく、ハイレゾ再生に対応したデジタル機器、そして高い再生能力を備えたヘッドフォンやスピーカーなどのアナログ機器も併せて用意しなければならない点に注意が必要である。

・ヘッドフォンやスピーカー購入時にはスペックを要確認

ちなみに、各ツールがハイレゾの定義を満たすには、オーディオプレーヤーなどのデジタル機器では96kHz /24bit以上の信号処理性能が必要であり、ヘッドフォンやスピーカーなどのアナログ機器では40kHz以上の高域の再生能力が必要だ。これらのスペックを覚えておくと、オーディオ機器購入の際の目安になるかもしれない。

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以上、ハイレゾについて簡単にまとめると……。

CDより優れたスペックのオーディオデータを、96kHz/24bit以上の信号処理性能を備えたデジタル機器を使って、40kHz以上の高域が再生可能なスピーカーやイヤホンなどで聴く

これがハイレゾの定義を完璧に満たした状態ということになる。

・CDとハイレゾの差は明らか

筆者も実際に、ハイレゾ対応スピーカーを使用してCDとハイレゾのオーディオデータを聴き比べてみた結果、ハイレゾは高域が天井までスーッと抜けるように伸びており、音全体が滑らかで、明らかにその差を感じることが出来た。

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・オーディオデータの価格が高い

だがしかし……ひとつ気になったのが、オーディオデータの価格である。宇多田ヒカルのアルバム「FirstLove」が4200円1曲のみでも514円とハイレゾオーディオデータが大変高価であることだ。定額で無料配信が当たり前のこの時代に1曲約500円以上となると、気軽に購入する人は少ないように思える。

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曲の価格に課題は残るものの、今後も続々とハイレゾに対応したデジタル機器がリリースされ話題になることに変わりはない。「ハイレゾって何?」もし誰かとそんな話になった時、この記事が参考になれば幸いである。

参照元:日本オーディオ協会「ハイレゾロゴ 定義と運用」
執筆:K.ナガハシ
Photo:Rocketnews24.
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▼ハイレゾ対応のオーディオデータを購入。
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▼ハイレゾ対応のアプリをインストール。
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▼ハイレゾ対応のアンプ内蔵スピーカー「KEF X300A」
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▼パソコンとスピーカーをUSBで接続。
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▼パソコンでサンプリング周波数を96kHzに設定。
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▼ハイレゾデータとCDデータを交互に再生してみる。
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▼ハイレゾは高音が透き通っていて音全体が滑らかだ。
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▼他の曲でも同様の音質が得られた。
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