ロケットニュース24

【実録】私はこうして突撃ハゲアタックされました

2015年12月10日

奇襲ハゲアタック

今から約3カ月前、衝撃の結末で幕を閉じた、GO羽鳥氏の『実録』新シリーズ、通称「突撃ハゲアタック」。まだ読んでいない人は、今すぐ前編から読んでほしい。なぜならば、まさに突撃ハゲアタックされた張本人が、わたくし「耕平」だからである。

あの日、突撃を仕掛けた側のGO羽鳥が思ったことは、先述の記事に書かれている通りであるが、まったく予想もしていなかった奇襲(きしゅう)を受けた側の私が思っていたことは、まだ誰にも話していない。ということで今回お伝えしたいのは、私、耕平目線からお届けする突撃ハゲアタックの裏側、題して「奇襲ハゲアタック」だ!

・序章

2015年6月15日、私のiPhoneに1通のメールが入る。

「……売れたッ!」。

そう、私は昼間の真っ当な仕事のかたわら、「アフィリエイト」というものをやっていた。アフィリエイトとは、商品を自分のブログやメールマガジンなどで紹介して、売れたら売上金額の中から自分に手数料が支払われる、いわゆる “販売代理店” みたいなものだ。

私は自分が薄毛だということもあり、薄毛対策の高額商材を販売する目的で『●●耕平の薄毛対策講座』という名の薄毛専門のメールマガジンを発行していた。しかし、メールマガジンを発行したは良いものの、肝心の読者が集まらない……。そこで集客の一環として、Facebookに広告を出して、読者を集めることにしたのである。

・「突撃ハゲアタック」が生まれたきっかけ

なぜFacebookにしたかというと、とあるアフィリエイトセミナーで

「Facebookは費用対効果が高い。私の手法でFacebook広告を極めれば、集客に困ることはないし、ともすればコンサルタントとしても活躍できますよ」

ということを聞き、今回このメールマガジンで、その集客方法を実践するに至った。その手法を簡単に説明すると……

その1:検索エンジンに自分が集めたいジャンルのキーワードを打って画像検索する。(私の場合は「ハゲ」「薄毛」など)
その2:表示された画像をパッと見でインパクトがありそうな画像を6つ選ぶ。
その3:その画像を使って、6種類の広告を作成。
その4:ターゲットに関係するキーワード(「ハゲ」「薄毛」など)を入力して広告を出稿。

──といったものだった。

そして、前述「その2」で説明した6つの画像の中の1つが、この「突撃ハゲアタック」で私が追われるきっかけとなった、GO羽鳥のハゲ頭だったのだ……!!

この画像は、まさに “パッと見でインパクトがありそうな画像” という基準をラクラクとクリアしていた。

私がターゲットとした「ツルッパゲ」ではない「薄毛予備軍」を象徴した微妙な額の広さ、心の中に闇しか見えない死んだ目線、その目線を添えるメガネの絶妙なズリ落ち加減……と、こんな完璧な素材がネットに落ちていた偶然に感謝したくらいだ。

集客効果は悪くはなかった。約5000円の広告費で、集まった読者は12人。読者1人あたり約416円だ。この金額は高いと思われがちだが、10人に1人購入してくれればプラスになる計算なので、反応は上々だと感じていた。

その読者の中に、あの地獄への案内人、MAD羽鳥こと「GO羽鳥」がいるのも知らずに……。

……この後、いよいよGO羽鳥が私に対して直接的な攻撃を仕掛けてくる。というか、すでに戦争は始まっていた。もちろん私は、この時点で彼の素性は一切知らない。一体全体、彼が何をしてきたのかは……次ページ(その2)にて公開したい。

Report:耕平
Photo:RocketNews24.

【実録】私はこうして突撃ハゲアタックされました(その2)

2015年6月15日、立ち上げたばかりのメルマガ宛に1通の問い合わせがあった。差出人名は「gohatori」。

当初、私は本当に薄毛に悩む、熱心な読者の方からの問い合わせだと思い、丁寧に返信した。まさか「私のことを言われたような気がして、ドキリとしたのです。」という「私」が、“メガネハゲ男” の画像の本人だということを知らずに……。

・地獄の始まり 〜2015年9月10日 午後4:00〜

私の携帯に一本の電話が入る。疎遠になっている妹からだ。

「なんか兄貴宛に変な人が来てるんだけど、何なの?」

一体、何のことだかわからず、事情を聞くと、どうやら「その人の写真がFacebookで無断で使われた」ということだった。

しまいには、

「弁護士にも話は通してあって、場合によっては出るとこ出るって言ってるんだけど。電話番号教えるから、あとはソッチでやっておいて。人に迷惑かけるようなことするんじゃないよ!」

と一方的に切られ、電話番号と、妹がネットで調べた記事のURLが送られてきた。

まったく思い当たる節がない……。何かの間違えではないか? と思いつつも、妹からその電話番号が届き、とりあえず訳のわからないまま、その電話番号に電話をかけてみた。

羽鳥「はい、羽鳥です。耕平さんですか?」
耕平「もしもし耕平と申しますが……船橋の家の方にいらっしゃったと聞いているのですが……」
羽鳥「あの耕平さんのメルマガから、育毛商材を買ったんですけど、Facebook広告でボクの写真が無断で使われてまして、どういう経緯か説明が聞きたいと思いまして……」

──その瞬間、3カ月前からの記憶が かすかにフラッシュバックした。そう、あのメルマガ読者で唯一問い合わせがあり、薄毛商材をただ1人購入してくれた、あの「羽鳥」と名乗る男と……頭の中で一致したのだ!

しかし、合点がいかない。なぜ船橋の身内の家まで乗り込んできたのだろう? Facebook広告で写真が無断で使われた? 薄毛商材を買って効果がなかったので、クレームをつけにきたのだろうか? ……と色々思い当たる節を考えてみた。だが、まだ意味がわからない。

しかしこの直後、いよいよ電話の向こうのGO羽鳥が、話の核心に迫るべく、グイグイと一気に距離を詰めてきたのだ。

羽鳥「実は私、ロケットニュース24のGO羽鳥です!」

!? ご……ゴーハトリ……ゴー羽鳥! あのロケットニュース24の……GO羽鳥!! なんとまさかのロケットニュース24の………………って誰?

そう、恥ずかしながら私はロケットニュース24を知らなかった。もちろんGO羽鳥という名前も聞いたこともない。

それを悟った羽鳥氏は、悲しげな口調で「ロケットニュース24は日本でも有名なニュースサイト」であることを説明してくれた。そのうえで、今回の一連の件についての話が聞きたいと言っている。

──だが、そこまで聞いても内容が噛み合わなかった。私はその電話自体、商材に対するクレームだと思っていたのだ。そもそもクレームなら販売元に行くべきだし、アフィリエイト自体は違法な行為でもないので、私にとばっちりが来る理由がない。

……ところが!

羽鳥「耕平さんがFacebookで広告を出していたじゃないですか? 私はあの広告を見て、メルマガに登録して、薄毛商材を購入したんですけど、そのFacebook広告に “ハゲメガネの男” の写真が使われてるのを覚えてますか? 実は私、あの画像の本人なんですよ

……その瞬間、全てが繋がった。要するに「著作権侵害」だということを。

”ハゲメガネの男” の画像も覚えている。実は著作権に関して、3カ月前までは全くの無知だったが、その後、某有名演歌歌手がブログで他人の画像を無断に転載して訴えられたニュースを見て、事の重大さを認識していた。

ただしその頃は、すでにメルマガの集客を止めていて(正確に言うと、その時に使った画像の一つがFacebookの規約に引っかかって、アカウントが止められた)、それに伴い、アフィリエイトも行っていなかった。

加えて、Facebookでの集客期間は3日間ほどだったこともあり、仮に著作権に引っかかる画像を使っていたとしても、大事になることはないと自分の中で思い込んでいたので、さほど気にしていなかったというのが本音である。

・蛇に睨まれた蛙

しかしながら……逃げ道は完全に失われた。著作権侵害は親告罪だ。相手が訴えてこない限りは罪にならないので、著作権侵害が表に出るのはごく少数である。

そのごく少数にあたり、なおかつその相手がとんでもない大物だったことを瞬時に理解した私は、一瞬で血の気がサッと引いた感覚に陥り、スマホを持つ右手が小刻みに震えたのを今でも記憶している。もしかしたら、髪の毛も数本抜けたかもしれない。

そして “ヘビに睨まれたカエル” 状態の私に、鬼のGO羽鳥はさらに容赦なくたたみかける……。怒涛の寄せは、次ページ(その3)で……!

Report:耕平
Photo:RocketNews24.

【実録】私はこうして突撃ハゲアタックされました(その3)

羽鳥「すでに弁護士にも相談しているんですが、どうしますか?」

「無断転載」「弁護士」……その2つのワードだけで、私は今置かれている状況を悟った。おそらく、やってはいけないことをやってしまったんだろう。身内の家にも突撃されていることから、完全に “逃げられない状況” であることを認識した。

耕平「とにかく話をしましょう。羽鳥さんはお一人ですか?」
羽鳥「いや、私の同僚で Yoshio という者も一緒です。もし話を聞かせてもらえるなら、このまま船橋でお待ちしていますので、何時頃にお帰りになりますか?」

自分はともかく、これ以上、身内に迷惑はかけられない……。とにかく場所を移そう。そう考えた私は羽鳥氏に交渉を持ちかける。

耕平「いや、羽鳥さんは都内にお勤めですか? 私は都内に勤めてますので、会社の近くまで伺わせていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか?」
羽鳥「それなら私のオフィスが新宿二丁目と三丁目の間なので、新宿三丁目駅のC8出口で20時に待ち合わせしましょう!」

──ん? 新宿二丁目……

耕平「かしこまりました……そ、それでは……20時に伺います……」

二丁目というキーワードに必要以上に反応してしまった私は動揺を隠しきれないまま、会話は一旦、ここで終了した。

・強大な媒体を敵に回してしまった

その後、まだ知らぬロケットニュース24について調べようと、会社のトイレの中で妹から送られたURLと「ロケットニュース 羽鳥」というキーワードで検索した結果……衝撃の事実が突きつけられる。

「こ、これは……」

さっき話した一連のことが、すでに記事になっているではないか! しかも「前編」「中編」  、そして、それぞれの記事の予告編のような、本格的な動画まで公開されている。

なんなんだこれは……。何なんだこれは。何なんだこれは! 私の全く知らないところで、すでに全国的な人気企画として稼働している!!

私はとんでもない人間を相手にしてしまった……。これから先、どうなるんだろう……。示談金? 書類送検? 前科? 一家離散? そんなネガティブワードの数々が頭の中から離れず、当然、その日は仕事も手につかず、そこから待ち合わせまでの記憶もほとんどない。

・そして運命の初対面

待ち合わせ時間の20分前に新宿三丁目駅に到着。ジッとしていられず、出口近くのコンビニの中から、ネットで見た羽鳥氏の様子を伺う。しかし羽鳥氏と思われる人物は5分前になっても、一向に現れない。

「おかしい……騙されたのか?」と疑問を抱きつつ、外をウロウロしていると、もう一つの大きめな駅の出口を発見! どうやら私はC8出口ではなく、隣のC7出口に降りてしまっていたらしい。そのくらい動揺していた。

そしてC8出口に到着し、運命の初対面。そこにはあからさまに、私が無断使用してしまった “ハゲメガネの男” の画像を拡大してプレートにしたGO羽鳥氏とYoshio氏が立ちはだかっていた。

耕平「羽鳥さんですか?」
羽鳥「もしかして耕平さんですか?」
耕平「この度は本当に申し訳ありませんでした!」

今、自分にできることは頭を下げることしかない! そんな思いで開口一番、謝罪しようと思っていた私は、とにかく必死に頭を下げまくった。

ところが意外にも羽鳥氏、Yoshio氏ともに表情は柔らかく、「なんか、すみませんね。わざわざご足労いただいて……」と明るい表情で私を迎えてくれた。

・これは罠だ……

私は疑念を払拭することができなかった。連行された場所は新宿三丁目と二丁目の間にあるオフィス。そこにたどり着くまでは、二丁目特有のあの文化がところどころに見受けられ、オフィスが入っているビルのちょっぴりレトロで怪しげな雰囲気の入り口が、私の疑念に一層の不安をもたらした。

この後、地獄の尋問が待っている……。私は『ロケットニュース24』という日本でもトップクラスのネット媒体で、全国的に公開処刑されるのだろう。しかし、もうここまで来たらなるようになるしかない。洗いざらい正直に話そう! さらば妻子よ! 友人よ! そして会社よ! そんな覚悟や思いがオフィスに向かうエレベーターの中で錯綜した。感動のラストは次ページ(その4)へGO!

Report:耕平
Photo:RocketNews24.

【実録】私はこうして突撃ハゲアタックされました(その4)

・尋問開始

そしてオフィスに到着。会議室という名の取調室に通される。まずは名刺を渡される。そしてGO羽鳥氏の著書『絶対に返してはいけない迷惑メール、LINE乗っ取りにマジレスしてみた。』(ワニブックス)のサイン入り本、クマムシのCDをプレゼントされた。

「な、何なんだ、この歓迎ムードは……!!」

今までの記事や動画で見た、あのGO羽鳥とは想像もつかないくらい紳士かつフレンドリーな対応。しかし、これも何かの罠かもしれない……。一瞬、そんな考えが頭をよぎったが、すでに覚悟を決めていたので、とにかく聞かれたことは勤めている会社名以外、すべて正直に答えた。

そこでの尋問などの一連のやり取りは「突撃ハゲアタック(後編)」に記載の通りだ。

・尋問終了。そして解放

尋問開始から約1時間は経過しただろうか……ようやく尋問が終了。最後に羽鳥氏から「今日は本当にありがとうございました。ところで耕平さんはお酒飲みますか?」と聞かれ、酒に目のない私は「はい、毎日飲んでいます」と答える。

会議室(取調室)の片隅に置いてあった大量の缶チューハイを指して、「せっかくだから、好きなだけ持って帰ってください」と言われ、「いや……さすがにこの量は帰りが電車なので持って帰れないですが……」と恐縮しながら返答すると、「大丈夫ですよ。使ってないバッグがありますから、そこにありったけ詰めて持って帰ってください!」と、アップルラッキーバッグを渡された。

その気遣いと表情から、緊張の糸が少しだけほぐれ、安心に変わったこともあり、このとき私は羽鳥氏のトレードマークでもある長髪も後押ししてか、この人が「神」に思えた。

最後に改めての謝罪とお礼をして、オフィスを後にするも、最後に聞かなくてはいけないことをエレベーターで思い出した。そう、どうやって身内の住所を割り出したのか……だ。もう一度、オフィスに戻り、私は羽鳥氏に再び頭を下げ、教えを請うた。

羽鳥「その話なら、言葉だけの説明だとわかりづらい部分もあるので、後でメールしますよ」

またも神対応。改めてお礼をし、オフィスを後にした──。

・私はGO羽鳥を知っていた

私が今回したことは無知だったとは言え、本来なら公開処刑に晒されるか、示談金を請求されても文句を言えない行為だ。著作権侵害は親告罪と言えども、罪は罪。前述でも書いた通り、私はこの場に至るまで、ある程度の覚悟はしていた。

話は変わるが、私の1日の締めくくりは「寝る前に撮り貯めたテレビ番組を、缶チューハイ片手に視聴すること」である。そのローテーションに入っていて、毎週楽しみにしているテレビ番組の一つがテレビ東京の『ヨソで言わんとい亭~ココだけの話が聞ける(秘)料亭~』だ。

今回、私(正確に言うと私の身内)は突撃取材を受けたわけだが、以前、同じようなことをテレビで見たことを思い出し、「もしや!?」と思い、家路に着いたその日の夜、「GO羽鳥 テレビ出演」と検索して調べたら、この番組がヒットしたのだった!

まだネットで動画が落ちていたため視聴したところ、その疑問が確信に変わった。そう、この羽鳥氏のコーナー『LINE乗っ取り犯撃退』で、私はほろ酔いしながら爆笑したのを覚えている。同じく『楽天アカウント乗っ取り犯』との自宅までの突撃取材を見て、「凄いなこの人……」と思っていた。

その記憶と同時に「私はなんて人に付け狙われていたんだろうか……」と改めて、事の重大さと恐怖がフラッシュバックした。

テレビで見てる分には記憶に残るほど、本当に楽しかったが、まさか自分が同じ目に遭うとは、想像すらしていなかったのだ。

そんな私に寛大な処置を施してくれた『ロケットニュース24』の懐の深さに心から感謝し、羽鳥氏、Yoshio氏にお礼のメールをせずにはいられなかった。

以上がここまでが私、耕平から見た「突撃ハゲアタック」である。

・~決断~ これから私にできること

1カ月後……。再び羽鳥氏からオファーがあり、“再戦” という形で新宿のオフィスに再び訪問し、再会を果たした。おなじみの記者、スタッフの皆様も、“渦中の耕平” を一目見ようと忙しい中、ご挨拶に来ていただいた。私も改めて「その節はご迷惑をおかけしました!」と、もはやトレードマークである薄毛の頭頂部を晒け出してお詫びをした。

そして一通りコンテンツ撮りが終了し、雑談中に羽鳥氏からまさかの衝撃の一言が!

羽鳥「ウチでライターやりませんか?」

私は一切、躊躇せず、「もちろんです!」と即答で答えた。

繰り返しになるが、今回の一連の相手が羽鳥氏ではなく、違う人だったら、私は本当に社会から追放された可能性がある。そう、私は『ロケットニュース24』に救われたのだ。こうして私は「なかま」になった……。

そんなダメ人間の私にできること。それは薄毛に悩む読者さんに自分の体験を伝えること。例えば、問い合わせの多かった『食事療法』や、使っているシャンプーや育毛剤など、できる限りお伝えしていきたい。

また、『突撃ハゲアタック』のきっかけとなったアフィリエイトについても、過去に300万円以上も投資した経験を踏まえ、一部で行われている詐欺に近い実態や裏事情に言及して、余すことなく発信していきたい。

最後にこんなダメ中年オヤジを「なかま」と言ってくれたGO羽鳥氏を中心とした『ロケットニュース24』の皆様や、楽しく、そして生暖かく見守ってくれた読者の皆様との出会いに心から感謝したい。

「薄毛ライター こうへい。以後、お見知り置きを」。ということで、今後とも宜しくお願いします!<完>

Report:耕平
Photo:RocketNews24.


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