現地時間の2015年11月13日に発生したフランス・パリの同時多発テロ。その事件現場の1つであり、最も多くの方が犠牲になったのがパリ中心部にあるバタクラン劇場である。

そこで実際にテロに遭遇した女性が、自らの体験をFacebookで証言するとともに当日着ていた衣服も公開。今、世界中で大きな反響を呼んでいるので取り上げたい。

・最初はショーの一部だと思った

事件当日、アメリカのロックバンド Eagles of Death Metal のコンサートが行われていたパリのバタクラン劇場。その場に居合わせたイザベル・ボドリーさん(22歳)は、会場の空気が一瞬にして変わってしまう様子をFacebook にこう綴っている。

「会場の正面入り口に男たちが現れて銃を撃ち始めたとき、私たちは無邪気にもショーの一部だと思っていました。あれはただのテロ攻撃ではありません。大虐殺です」

「何人もの人が私の目の前で射殺されました。フロア一面は血の海。男たちは亡くなった恋人を抱きしめながら悲痛な叫び声をあげ、それが小さなコンサート会場を突き刺すように響き渡っていました」

・恐怖のなかで……

悪夢のような状況で、ボドリーさんは “死んだフリ” をして難を逃れることが出来たという。Facebook の投稿はこう続く。

「一時間以上もの間、私は人々の間に横たわって死んだフリをしていました。彼らの目には、愛する人が動かなくなったのが見えていたはずです……私は息を止めて、動かないように、泣かないように、あの男達が望む恐怖を表に出さないように堪えていました。(中略)」

「ハゲワシのように私たちの周りを取り囲む男達の姿を、私は死ぬまで忘れられないでしょう。私は立ち見席の真ん中にいましたが、彼らはその辺りにいた人々を注意深く狙って撃っていきました。人間の命を尊重する様子は少しも見られませんでした」

・一方で現場にはヒーローも

……このようにボドリーさんは自身の恐怖体験について説明する一方で、現場にいたヒーローについても触れている。

彼女の頭部に覆いかぶさり、命がけで守ってくれた男性、愛に満ちた最後の言葉で勇気をくれたカップル、何百人もの人々を助け出してくれた警察官、彼女の服が血に染まってしまったために「服を買ってあげる」と申し出てくれた友人たち、慰めてくれた何人もの “見知らぬ” 人たち……。

彼女は、彼らのおかげで「世界がよりよくなる可能性があると信じられた」とし、また後半では遺族と犠牲者に対してメッセージを残している。

・遺族と犠牲者へ

「あの場で彼ら(犠牲者)の最後を看取れたのは光栄なことだったと感じています。そしていつか私も彼らのもとに行けるのだと心から信じていますし、彼らが亡くなる直前に考えていたのは、このようなことを引き起こしたケダモノ(テロリスト)のことでは決してなかったでしょう(中略)」

「安らかに眠って下さい。あなたたちのことが忘れ去られることは決してありません」

……こうして犠牲者への言葉で締められたこの投稿には、血に染まった “事件当日の衣服” が添えられて公開された。すると、2015年11月16日時点で72万回以上シェアされ、260万以上の「いいね!」を獲得することに。

・二度と起こらないように

海外メディアによれば、11月16日の時点で132名の死亡が確認されたという今回の痛ましいテロ。亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、生存者の1日も早い回復を、そしてこのような事件が二度と起こらないよう切に願いたい。

参照元:FacebookMirror News(英語)
執筆:和才雄一郎

▼こちらがその写真