象牙やサイなどの角はブラックマーケットで高価で取引されるため、アフリカやアジアでは密猟が横行し、希少動物が銃弾に倒れる事態が相次いでいる。
そんななか、フランスの動物園で密猟者によりシロサイが射殺され、角が切り取られる事件が発生。これを受けて、密猟から守るために前もってサイの角を切り落とす動物園が登場しているというのだ。
・仏動物園のサイが密猟者の犠牲になる事件が発生
2017年3月6日、仏パリのトワリー動物園で4歳のミナミシロサイが射殺され、2本ある角の1本がチェーンソーで切り落とされるという痛ましい事件が発生。ミナミシロサイは準絶滅危惧種に指定されている希少動物である。
ヨーロッパで、動物園の動物が密猟者のターゲットとなり襲われたのは前代未聞だとのことで、動物園関係者は警戒を強めている。
・チェコの動物園がサイの角を切り落として策を講じることに
そこで、チェコ共和国のドブール・クラーロベ動物園は密猟対策を講じるために、同園にいるサイ21頭の角を切り落とすことにしたというのだ。同園では、希少なキタシロサイをはじめとするクロサイとミナミシロサイを飼育し、世界で唯一キタシロサイの繁殖に成功した動物園としても知られている。
サイに角がなければ密猟者に狙われることはないため、苦肉の策だがサイの安全を考えたら適切な処置だと言えるのではないだろうか。
・動物の角の取引が禁止されて以来、その価格がうなぎ上りに!
アジアのブラックマーケットでは、サイの角が数百~数千万円で取引されているという。象牙やサイの角の取引が禁止されて以来、ますますその価値がうなぎ上りとなり、関係者は「取引が違法でなければ、動物の牙や角が現在の価格に達することはなかったでしょう。トワリー動物園のサイが狙われることもなかったのではないでしょうか」と語っている。
取引を禁止しなければ、価格が上がることはなくても動物が狙われ続けるし、禁止すれば角や牙の価値が上がってしまう。なんとも厳しい状況であることは間違いないが、動物園や自然保護区が事前に対策を講じることで、動物達の安全が確保されることを願いたい。
参照元:Facebook @ZOO Dvůr Králové、Tronto metro、The inertia(英語)
執筆:Nekolas