今回ご紹介するのは、無実の罪で逮捕され、18年間服役していた1人の男性のお話だ。それが、1995年に米ニューヨークで起こった強盗殺人事件で、他の5名と共に懲役25年の判決を受けたエリック・グリッソンさんである。しかし彼はあきらめず、刑務所に入れられた後も無実の罪を訴え続け、2012年に無罪を証明したのだった。
そんなグリッソンさんが海外サイト Reddit に登場し、「なんでも答えます」と広く質問を受け付けた。えん罪被害者である彼は、刑務所で何を考え、どんな思いを抱えていたのだろうか? 質疑応答40選として、彼の声をお伝えしたい。
Q1:「もう二度と自由になれないんじゃないか……」と思ったことはありますか?
A1:その思いは、ずっと頭の中にありました。それでも、なんとか物事を楽天的に考え、いつか自由になれる日がくると考えるんです。
Q2:奪われた時間を取り戻すことは出来るのでしょうか?
A2:出来ません。何をもってしても、奪われた時間を埋め合わせることは出来ないのです。
Q3:無実の罪で自分の人生を奪われ、世界から締め出されるってどんな感じなのでしょうか? 自分自身が変わってしまったと感じたりしますか?
A3:自分を取り巻く世界が変わったと感じています。なので、社会に再び慣れることが難しかったです。けれども、一歩ずつ、少しずつ、社会を離れたことで失った自信を取り戻していくしかないんです。
Q4:家族や友人の中に、あなたが殺人を犯したと思い込んだ人はいましたか?
A4:たくさんの家族や友人が、私が殺人を犯したと思い込んで、私から離れて行きました。その後、彼らもえん罪であったことを知り、過去の誤解に対する埋め合わせをしようとしてくれました。私も、彼らの謝罪を受け入れています。
Q5:あなたが殺人を犯したと信じた人々を恨みますか?
A5:いいえ。告発され、被告席に座れば、誰だって「あいつは有罪だ」と思ってしまうものだから。
Q6:真犯人は、あなたの知っている人物でしたか?
A6:個人的には、彼らのことは知りませんでした。でも、私の近所に住んでいたということです。
Q7:えん罪でも、「刑務所に入っていた」というレッテルと共に生きるのは大変ですか?
A7:そうですね。部屋を借りるのが大変でした。最近新しい部屋に越したのですが、“信用情報” がなかったので、1年分の家賃を前払いしなければなりませんでした。仕事は、自分でジュースバーを開いて働いています。
Q8:他の受刑者から、刑務所に入った経緯などを聞かれたとき、自分は無罪だと話していたんですか?
A8:誰に対しても、自分が無罪であることを話していました。えん罪であることが明らかになるまでは、様々な反応が返ってきましたが。
Q9:刑務所を出てから、世の中のどんな変化に最も驚きましたか?
A9:若者たちや、サブカルチャーの変化に驚きましたね。ボディーピアスや、タトゥー、パンツをずり下げるようなファッションなど。
Q10:お肌がキレイですね。その秘訣を教えてもらえますか?
A10:生のアロエを食べていたんです。
Q11:あなたの他にも、5人の人物が同じ無実の罪で捕まりましたね。彼らと助け合ったりしたのでしょうか?
A11:私たちは、みんな別々に刑務所に入れられました。あれ以来、彼らとは二度と顔を合わせていません。けれども、彼らに宛てて手紙は書きました。
Q12:なぜ、有罪判決が下されたんですか? なにか “証拠” が出されたんですか?
A12:薬物中毒者でホームレスの女性が、嘘の証言をしたんです。でもそこには物的証拠は何もなかった。指紋も何もなかったんです。
Q13:あなたは罠にはめられたんですか? それとも何かの手違いだったんでしょうか?
A13:その両方だと思っています。
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