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ここ20年ほどの科学の発展には驚くべきものがあります。開拓され尽くした未踏の地、世界中に張り巡らされたインターネット、現実のようなヴァーチャルリアリティ、医療の発展で随分少なくなった不治の病、火星を目指す人類、クローンで創られた命。

それは、科学者達が飽くなき探求心で、常識とされてきたラインを越え続けてきた足跡の上に成り立っています。しかし、これだけ科学の発展した世の中であっても、解明できない謎があります。それは、“人間そのもの” です。

今回の話は、人体の不思議にまつわる “なんでもない日常が、一瞬にしてとんでもない非日常に変わった” 奇妙な体験です。

・26歳の頃

当時、私(中澤)は血気盛んな26歳。休みなくバンド活動とバイトをして、家では寝るだけという毎日を過ごしていました。そんな最中、降って湧いた突然のオフ日。実に1カ月ぶりのこの日をどう過ごすかでひどく悩みました。

草木は溢れんばかりに深緑の枝を広げ、空は痛いくらいに青く、頬を撫でる風の中に溶けて消えてしまいそうな心地になる天気です。美味しいモノでも食べに行くか、はたまた電車でショートトリップでもしてみるか……考えに考えた結果、家でゴロゴロすることにしました。

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・体に起こる異変

「何を欲するでもなくゴロゴロすることに集中する」行為。自分の外側ではなく内に潜っていくその行為は、さながら禅のようです。心に泡のように浮かんでは消える邪念を払いつつ、ひたすら、内に瞑想を続けていると、一つの考えが光のように差し込んできました。「屁がコきたい」

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・屁をコこうとしたその時

そう、私は屁がコきたくなっていました。これは一種の悟りでした。少し気恥ずかしいですが、ここは私の家。誰かに遠慮する必要はないのです。「思うがままぶっ放せばいい」、そうささやかれた気さえしました。満を持してお腹に力を入れた瞬間……ブバァァァンッ!!! 予想以上の破裂音に嫌な汗が頬をつたいました。「これ、悟りどころか仏本体までイッちゃってるんじゃね?」と。

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・漏らすとか、そんな次元ではなかった

念のため、パンツを脱いで見てみることにしました。そう、念のため。そこはかとなく感じる “パンツがはりつくような気持ち悪い履き心地” も、地獄のような臭さも、先ほどの屁の凄まじさにナーバスになっているだけに決まってます。こんなのはただの妄想です。

……まあ……結論から言うと……仏が見るも無残に爆誕してました。分かりやすく言うと、完全にうんこ漏らしてました。いや、漏らすとかそういうレベルじゃなかったので、逆に漏らしてなかったです。

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・ノーパンで走る

草木は溢れんばかりに深緑の枝を広げ、空は痛いくらいに青く、頬を撫でる風の中に溶けて消えてしまいそうな心地になる天気の中、私はパンツを手に持ち、ノーパンでコインランドリーへ走りました。そして、勢いそのままにパンツを洗濯機にぶち込みました。1時間後、綺麗なパンツを片手に持ち、また一つ大人になった私がいました。

ひょっとして、これを読んだ方は、私のことを馬鹿にするかもしれません。しかし、一つだけ大事なことを言っておきます。うんこをしなさそうなイケメンも、真面目そうな好青年も、みんな言わないだけで、20歳を越えてから一回は漏らしてます。男は、うんこを漏らして強くなるのです。

世界の常識というライン。そのラインを何かの弾みで越えてしまった時、そこに元からラインなど無かったことに気づくでしょう。数々の科学者達もそうやって世界を変えてきたのかもしれませんね。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24

▼この記事、親が読んだらなんて思うかな……。
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