「人の心を一発で掴む」──口で言うのは簡単だが、実際に行うのはなかなか難しい。ましてや、海外に行って言葉がよく通じない場合は、なおさら難易度が高いだろう。
だが、たとえ言葉の壁があっても、心と心が一発でバシッと通じ合えるようなアイテム、フレーズ、一発ギャグなどが、きっとあるはず……。
それを探り、検証するのが この企画「外国人との “心の距離” を一瞬で縮める方法」だ。記念すべき第一回目は、私(筆者)が実践したキューバでの試みを紹介したい。
今回、私が検証したのは以下の3つ。そのやり方と感じた効果を、一つずつ解説しよう。
検証その1:アントニオ猪木
キューバ政府からキューバ友好勲章を授与され、フィデル・カストロ前議長とも親交があるとされるアントニオ猪木氏。キューバと関わりが深い同氏の名前は、きっとキューバ国民の間にも知れ渡っている……はず。
ならば、アントニオ猪木氏のTシャツを着て街中を歩けば、「イノキ! イノキ!」と、キューバ人から声をかけられるのではないだろうか。もしそうなったら、後は必要な言葉なんて「ダー」くらい。ほぼ言葉なしで、心の距離を縮められる……だろう。
だがしかし! Tシャツを着て外に出てみたものの、誰1人としてTシャツに見向きもしないのである。どうした!? 猪木だぞ! アントンだぞ! 寛ちゃんTシャツだぞーー!!
……待っていても全く埒(らち)が明かないので、自分から「アントニオ猪木って知っている?」とキューバの人たちに聞いたところ、なんと全員が「ノー」。または、「アントニオ・マセオ(独立戦争を戦ったキューバの英雄)なら知ってるよ」というお答え。
つまり、私が尋ねた範囲(30人ほど)では、誰一人としてアントニオ猪木のことを知らなかったのだ。日本では格闘界のカリスマなのに……。キューバとも関わりが深い存在なはずなのに……。よって、この方法は大失敗。私が実感した効果はゼロである。
検証その2:世界のイチロー
猪木がダメなら、次はイチローだ。野球大国キューバの人々は、スーパースター「イチロー」のことも知っているのではないだろうか。そこで ちょっと古いが、マリナーズ時代のネーム入りユニフォームTシャツを着て外に出ると……
「イチロー・スズキーー!」と多くの人が声を掛けてくるではないか。どうやら、少なからぬキューバ人がイチローを知っているもよう。これは、なかなかの効果である。さすがイチロー! 世界のイチローや!!
しかし、今回の検証では、イチローのユニフォーム以上にキューバの人々の心を掴んだものがあったのだ。それは……次のページへGO!
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.