「ケチ」という言葉にポジティブな要素はない。「ケチをつける」「ケチがつく」「ケチ臭い」など、どれもいい意味で使われることは皆無である。筆者も含め多くの人は、気前が良くなくてもいいから、ケチな人間にはなりたくないと思っていることだろう。だがしかし……!
あれは2年ほど前だろうか。テレビで「オランダに嫁いだ日本人妻」のような特集を見たときのこと。筆者は常々「ケチはカッコ悪い」と思って生きてきたのだが、その番組を見てから、ケチに対する概念がグラグラと揺らいでしまったのだ。
・「ケチ」な人間にはなりたくない
筆者はこれまで30年以上、「ケチ」に対してかなり強く抗って生きてきたつもりである。別に大した稼ぎではないものの、使うときはパーッと使うし、無いなら無いなりに過ごす。誰かにタカるようなことしないし、会社と先輩以外には基本奢られない。
先輩に奢ってもらった分は後輩に奢り、女性と食事をしてもワリカンにしたことはない。一度もない。これはワリカンがケチだと言っているわけではなく、なんとなく「男たるもの女に金を払わせるなんてとんでもねぇ」的な環境の中で生きてきたので、そうなっただけだが。
・オランダ人夫はマジでケチ
それはさておき、問題のテレビ。先述したように「オランダに嫁いだ日本人妻」の話だったのだが、嫁いだ先のオランダ人の旦那さんが、まぁぁぁーーーケチ! 超ケチ!! 冷蔵庫が壊れても買い換えようとせず、奥さんと出かけても「ちょっとスイーツを食べる」なんてことは皆無らしい。
さらに驚くのは、日本人妻がオランダ人夫のご両親に、誕生日の贈り物をする際のこと、プレゼントと一緒にレシートを渡していたのだ。これはプレゼントが気に入らなかったとき返品しに行くためらしく、もっと言えばオランダ人には少なからずそうした習慣があるらしい(テレビで見ただけだが)。
オランダといえば、チューリップと風車、そして “大麻が合法” くらいのイメージしかなったのだが、筆者は「オランダ最悪だな。ケチにも程があるぜ」と一人鼻息をフンフンと荒くしていた。だがしかし……! そうしてまでケチってコツコツため込んだお金の使い道を聞いて、筆者はカルチャーショックを受けてしまったのだ……。
・衝撃のお金の使い道
オランダ人夫(そのご両親も)は、ケチってケチってためたお金を、なんと『恵まれない人たちに全額寄付』していたのだ。こ、これは……? 普段のオランダ人夫は、絵に書いたようなケチである。一緒にいたら、こっちの心まで貧しくなっていくようなケチなのだ。
でもそれは本当にケチなのだろうか? もしかしたら、とてもとても尊いことなんではないだろうか? ……なんて考えていたら「ケチ」に対する概念が、全然わからなくなってきてしまったのだ。うーん、本当に「ケチはカッコ悪い」のだろうか? マジでわからん。
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.