tonjiru

こんにちは、佐藤です。今日は珍しく恋愛について、お伝えしたいと思います。これは地元の古い友人の話。女性の友達が漏らしていた愚痴というか不満というか、こういう男ってどうなの? と意見を求めてきた話です。

彼女は最近彼氏と別れたそうです。お互い妙齢で結婚も気にするような間柄、しかし付き合いは浅く、これから関係を育んでいく途中だったそうです。でもどうしても耐えられないことがあり、彼をフッてしまったのだとか。彼女が耐えられなかったこととは……。

・妥協を許さない女

彼女を仮に女子力高めのジョシ子としましょう。ジョシ子は、三十代中盤で実家暮らし。両親からは随分前から結婚を催促されているのだが、妥協を許さない性格ゆえ、コレという人に出会えていませんでした。

・極端な節約家の男

一方の彼氏は、私の高校の先輩。仮にケチ男としましょう。ケチ男先輩は筋金入りの節約家。高校の時分から無駄遣いをしない性質で、その徹底ぶりに日々驚かされていました。高校生のときからスーパーのチラシを持ち歩き、部活の帰りに「佐藤、あのスーパーでタマゴ1パック30円(おひとり様1パック限定)やってるから、帰り付き合ってくれ」と言われたことがあります。もちろん断ったけど。

・お互い本性を隠して

そんな2人が出会ったこと自体奇跡。共通の友人を介して出会ったとのこと。知ってる2人が結ばれるのは多いに歓迎したい。しかし2人の性格を知るがゆえに、私は続くかどうかは微妙なところと感じていました。付き合い始めた当初、お互いに本性を隠していた節があるようです。しかしジョシ子は、ケチ男先輩がお金に細かいことに次第に気づき始めていました。

・食のイベントへ

外食は避け、できるだけ自宅に招いて手料理を食わせようとするからです。出不精な人なのかなと思っていたようなのですが、そうではないと確信する出来事に遭遇したのでした。それは食のイベントに参加したときのことです。

・「豚汁無料だよ!」

そのイベントのチラシを見て、「豚汁無料配布」に異常に興奮する彼の姿を見て、ジョシ子は不安に駆られたそうです。「ジョシ子、このイベント豚汁無料だよ!」、嬉々として語るケチ男先輩。このイベントに絶対行こうと熱烈に誘われたジョシ子は、断ることができずにその日を迎えました。

・豚汁に興奮マックス

そして当日、『1人2杯まで』の豚汁に長蛇の列。「たかが、豚汁に……」、ジョシ子は喉元まで出かかった言葉を飲み込み、30分の行列に堪えて小さな器に盛られた豚汁を手にするのです。ケチ男先輩の興奮はマックス、今までに見たこともないほどうれしそうな顔をして、「おいしいね!」と喜びを口にしたのでした。

早々と1杯目を平らげると、すぐさま「ジョシ子、もう1杯もらえるぞ、早く来いよ。アハハハ」と高笑い。ジョシ子は背筋に冷たいものを感じたそうです。この時に別れることを決めたと……。

ジョシ子「無料の豚汁に興奮する男ってなんなの? そんなにまで豚汁食いたいなら、自分で作ればいいじゃない。あの時の嬉しそうな顔に、嫌悪感を抱かずにはいられなかったわ」

・パンケーキなら

とのこと。私は彼女に何とアドバイスすべきかわからずに、「パンケーキ無料だったらよかったの?」と尋ねると、「当たり前でしょ、豚汁って……」と答えた。それ以上返す言葉が見当たらずに、私は黙り込んでしまいました。これはケチ男先輩の問題なんだろうか、それとも……。

執筆:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24.