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振り込み詐欺とは「電話などを使って、言葉巧みに見知らぬ相手にお金を振り込ませる」詐欺行為だ。一度払ってしまった現金を取り戻すのは至難のわざ。どんな理由を語られても「多額の金銭」を、「今すぐに振り込んで!」という話には要注意だ。

海外である男性が約630万円もの振込め詐欺被害に遭ってしまったそうだ。しかし、妻が目からウロコの方法を用いて犯人の口座を凍結!! 約580万円を取り返すことに成功したという。

・夫が約630万円の振込め詐欺被害

2014年9月2日午前、中国・江蘇省南京で鋼材関係の仕事をしている男性・張さん(仮名)のもとに、こんな電話がかかってきたそうだ。「手元に鉄筋資材が145トンあります。買い手を探しているのですが……」と。

交渉の末、1トンあたり2248元(約4万3000円)、総額33万元(約630万円)での商談が成立。張さんはその日のうちに資材を受け取るため、上海の倉庫に人を派遣した。そして電話の主の指示通りにひとつの銀行に32万元(約610万円)、別の銀行に1万元(約19万円)を振り込んだという。

いくら商売に「迅速な決断」が不可欠とは言え、ちょっと展開が急すぎやしないか……。

結局、張さんが資材を受け取ることはなかった。指定の倉庫に資材があったことはあったが、これには別の持ち主が存在したのだ。一体どうなっているんだと、折り返し電話をしたが相手連絡がつかなかったそうだ。

・妻が犯人のネット口座にデタラメなパスワードを入れまくる

「騙された!!」と、気づいた張さんの妻はあわてて銀行に助けを求めた。すると銀行がある方法を教えてくれたのだそうだ。なんと「犯人のネット口座のログイン画面で間違ったパスワードを入れて、一時的に口座を使えなくする」というのである。

確かに、多くのネットバンキングサービスでは、不正利用防止のためパスワードを何度か間違えると利用停止となる。しかし、まさかこんな方法が提案されるとは!?

・約580万円を取り戻すことに成功

さっそく、妻は銀行の指示通りにデタラメなパスワードを入れまくり、銀行口座は一時的に利用停止となった。すでに32万元のうち2万元と、もうひとつの銀行に振り込んだ1万元は引き出し済みだったが、とりあえず30万元(約580万円)を口座内に留めておくことに成功したのだ!

同時に、夫から通報を受けた警察は犯人の口座を正式に凍結。そして2カ月後に犯人は逮捕され、口座内に残っていた30万元は張さん夫婦の元に返還されたのだった。

・まずは詐欺に遭わない心がけを

犯人は、鉄鋼資材市場でアルバイトをしていた男で、バイト先で手に入れた顧客リストを使って振り込み詐欺を実行したのだという。裁判の結果、懲役6年8カ月、10万元の罰金、さらに張さん夫妻へ先に引き出した3万元の返還命令も出たそうだ。

銀行の機転と妻の行動は、まさに「この発想はなかった!」としか言いようがない。注目が集まった事件だが、裁判官は「口座の利用一時停止は万能の解決策ではない」とクギをさしている。被害に遭ったらまず警察に連絡を。それより何よりどんな理由を語られても「金の振込みを妙に急がせる電話」には要注意である。

参照元:網易新聞新浪新聞(中国語)
執筆:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.