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2014年10月19日から放送が始まったタモリさんの新番組『ヨルタモリ』。『笑っていいとも!』ですっかり昼のイメージが定着したタモリさんなのだが、この番組ではいいとものイメージを一切払拭して、シュールなタモリワールド全開の内容になっている。

本来のタモリさんの芸風を知る人は、「こんなタモリを待っていた!」と歓喜しているようなのだが、いいともタモリしか知らない世代の人にはあまり歓迎されていない雰囲気。そこで本来のタモリさんの芸風を知る上で手がかりになるCDをご紹介したいと思う。

・タモリ芸の起源

本来のタモリさんの芸風は、すでに2回の放送でその片鱗を伺わせている。番組に登場する架空のテレビ番組「世界音楽紀行」や「日本古典文学講座」は、CDを聞くとその起源を理解することができる。

・全5作品リリース

タモリさんの名義でリリースされている作品は全5作ある。そのうち4枚目の『ラジカル・ヒステリー・ツアー』は、T-SQUAREや桑田佳祐さんの協力のもとに制作されたボーカルアルバム。5枚目の『HOW ABOUT THIS』は大まじめなジャズアルバム。3枚目の『タモリ3 』は著作権上の問題で絶版となっている。

・もっとも色濃い1・2作

もっとも色濃くタモリ節が炸裂しているのは、1枚目の『タモリ』と2枚目『タモリ2』だ。2作にある「教養講座」はタモリさんの音楽的素養を存分に生かしつつ、架空の音楽史をひも解く、知性あふれるユーモアが溢れている。先に挙げた『ヨルタモリ』の「日本古典文学講座」には、教養講座のテーマ曲とナレーションがそのまま生かされているのだ。

・真実であるかのような表現力

そして、「世界音楽旅行」もまたこの教養講座の流れを汲んでいる。特にタモリ2の「音楽の変遷その1 ー旋律の源とその世界的波及についてー」ではある旋律を題材にして、タモリさんが世界中の音楽を解説。それがあたかも真実であるかのように聞こえるから、驚嘆しつつも笑い転げずにはいられない。

・約40年の時を経て

『ヨルタモリ』第1回放送の偽フラメンコ歌手、2回目の中国語ラップは、この音楽の変遷にその源をたどることができる。驚くのは、この2作品は1977年78年にリリースされており、『ヨルタモリ』で披露している芸は約40年の時を経て、再び呼び起こされているということだ。やはりこれらの芸はタモリさんの中に根付いたものであり、タモリさん自身の真骨頂であると言えるだろう。

より深く『ヨルタモリ』を堪能したいという方は、この2つのアルバム作品で予習することをおすすめする。珠玉の密室芸を楽しめること間違いなしだ。

参考リンク:フジテレビ
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24.