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犬や猫に接すると、くしゃみや鼻水が出たり、咳き込んでぜんそくのような発作を起こす人がいる。これは犬・猫のアレルギーで、体毛やフケ、唾液などがアレルゲン(抗原)となってこれらの症状が出てしまうのだ。犬や猫が好きなのに接することができないというのは、悩ましいところである。

では、逆に犬猫にはこの逆のケースが存在するのだろうか? つまり、犬猫の「人間アレルギー」である。もしもそうなった場合、飼い主と接することが大変難しくなってしまう。しかも彼らはその意志を言葉で伝えることができないのだ。実際にアメリカの動物保護施設で、人間アレルギーの犬が見つかった。その犬アダムは施設にやってきた当初、脱毛と皮膚炎に苦しんでいたという。

・身体の毛が抜け落ちていた

アダムを保護したのは、米インディアナポリスにある施設「ラッキードッグリトリートレスキュー」である。ここは殺処分される犬を保護して、新しい飼い主を探す施設だ。施設に連れて来られた当初のアダムは、顔をはじめとする複数の箇所の毛が抜け落ちており、自ら身体に噛みついて傷ついていたそうだ。

・まったく治る気配はなく

施設スタッフは何とかアダムを治療してあげたいと思い、傷を治すための最良の手立てを施した。しかし一向に完治する気配はない。可能な限り最良のエサを与えて、週に2度入浴させ、細心の注意を払っていたという。しかし肌の状態はまったく快方に向かわなかった。困惑したスタッフはアダムの血液検査を行った。その結果、意外な事実が判明したのだ。

・人間アレルギーと判明

ベテランスタッフが血液を調べたところ、人間アレルギーであることがわかった。アダムを献身的に世話していたスタッフは、当初この結果を一切信じなかったそうだ。しかし、人間に犬アレルギーがあるのと同じように、犬にも人間アレルギーがあっても不思議ではない。アダムは特異性感染症と診断され、人の皮膚や頭皮から絶えず放たれている微細な粒子に過敏に反応してしまうのである。アダムは人と接している間、絶えず身体が痒くなってしまうため、自ら身体に噛みついていた。

・免疫治療を施すことに

スタッフはアダムに免疫治療を行える医師を探し出し、アレルギー注射を施すことに決めた。この治療でアレルギーを克服できるかはわからないのだが、施設のスタッフは少なからず望みがあると信じているようである。

ちなみにラッキードッグリトリートレスキューのFacebookを見ると、発見当時のアダムの画像を見ることができる。衰弱しきったその頃の顔つきと比べると、その後1カ月で随分元気になっているように見える。この調子で、アダムがアレルギーを克服して行けることを願うばかりだ。

参照元:ODDITYCENTRALThe IndychannelFacebook(英語)
執筆:佐藤英典

▼保護から1カ月を経たアダムの画像