三河湾を臨む蒲郡市。この町の一角に「ガン封じ」で有名な無量寺という寺がある。老若男女問わず、辺り一帯が団体参拝客でごった返す人気スポットだ。
さすがは日本一寺が多い愛知県。当たり前の寺では過酷な生存競争を勝ち抜けないのか? 一風変わった寺が多いが、ここもしかり。
触れるだけで寿命が伸びてしまう亀の甲羅をはじめ、シルクロードの石窟をモデルに作られた、ちょっぴり不気味アトラクション「千佛洞めぐり」が実に神秘的。ではさっそく行ってみますか!
・ガンの恐ろしさを感じずにはいられない大量の絵馬に絶句
こちらの無量寺は平安時代から続く由緒正しいお寺だが、近年何を思ったか、中国西安にある大雁塔(だいがんとう)を三分の一という不思議なスケールでおっ建ててしまう。
既存の建物から浮き上がったコンクリ大雁塔は大きさも高さもイマイチだが、参拝者には格好の目印。参道には人気ぶりを裏付けるかのごとく、参拝者がびっちり書き込んだ「ガン封じ絵馬」が、これでもかと奉納されている。
絵馬に描かれた人型を見れば、奉納した人がどういうガンを患っているか一目瞭然。ときに「全身」などと記された絵馬を見ると胸が重くなるが、日本人の三割が命を落とす「ガン」という病の恐ろしさを違う形で目の当たりにすることができた。
・真っ暗な石窟で痔を治すホトケ様と遭遇
本堂では、様々なガンよけのお守りを販売中。ガン予防には食生活の改善が大事!という住職の持論から「ガン封じ箸」などのグッズも発売中。続いてはお待ちかねの「千佛洞めぐり」。遥か中国は敦煌や蘭州にある石窟寺院の雰囲気を形だけ味わえるミニアトラクションは、有り難いことに入場無料である。
角を曲がると中は真っ暗。人がようやくすれ違える狭い通路の岩壁には、約千体の仏がぎっしり刻まれているという。それらがランプやロウソクの明かりにぼんやり照らしだされ、なかなか幻想的。
時折思い出したように設置された「じろう、イボ痔、切れ痔、痔病封じ仏」みたいなお節介案内板さえ無ければ、シルクロードの石窟を彷徨っている気分になれるお得スポット。閉所恐怖症の人にはお勧めできないが、出口までわずか5分。機会があれば歩いてみよう。
・今回ご紹介した施設の詳細データ
名称 無量寺
住所 愛知県蒲郡市西浦町日中30
時間 8:00〜17:00
交通 名鉄蒲郡線「西浦駅」より徒歩10分
Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.
▼ローカル臭の漂う名鉄・西浦駅
▼駅前にそびえるおどろおどろしい案内板
▼こちらが噂のレプリカ大雁塔
▼参道に沿って大量の絵馬が並ぶ
▼心がしめつけられる絵馬の数々。皆さん必死だ
▼よく見ると表情が怖すぎ
▼千佛洞めぐりはこちらから
▼入場無料の太っ腹。早速入ってみた
▼日本にいるような気がしない!
▼実に神秘的な雰囲気
▼おっと、何かが見えてきたぞ?
▼じろう、イボ痔、切れ痔とな……
▼私を現実に戻してくれた案内板