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味噌ラーメンのイメージが強い札幌だが、最近ではつけ麺も気軽に食べられる。だが数年前、関東近郊でつけ麺ブームが起きていた頃は、まだつけ麺を提供する店は本当に少なかった。そんな中、札幌でいち早くつけ麺を提供し始めた店がある。「あらとん」だ。

2006年のオープン以来、オリジナリティあふれる味で、ファンというよりは「あらとん中毒者」を獲得し続けているラーメン屋である……! あらとんでしか食べられない、独創的かつ個性的なオンリーワンの一杯をご紹介したい。

・中心部から離れた場外市場に店がある理由

あらとんは、札幌中心部から少し離れた、札幌場外市場に店を構えている。場外市場とは、端的にいうと札幌で一番大きい魚市場だ。車でないと若干アクセスの悪い場所だが、昼時ともなれば、当たり前のように行列が出来ている。

オススメしたいのは「あらとんつけ麺」である。麺は太麺で、スープは豚骨ベースだ。これだけならどこにでもありそうなつけ麺だが、あらとんのスープには、北海道だからこそ、いや場外市場だからこそ用意できる、新鮮な魚の “あら” のローストが加えられているのだ。

アクセスが良いとは言えない場外市場に店を構えているのは、店主がこだわりの素材を追い求めた結果、辿り着いた場所だからなのである。

・単なるWスープではない

ラーメン通ならば「豚骨と魚介のWスープでしょ?」と思うかもしれない。違うのだ。単なるWスープならば、オンリーワンの一杯にはならない。上述した以上の製造過程は不明だが、口の中に入ったそのスープは、他では味わうことができない「あらとん味」なのだ……。

・強烈なパンチと、さらに強烈な旨味!

麺とスープが着丼したら、まず心を落ち着ける……そして、麺をスープにたっぷりくぐらせて口の中に放り込む! まず、キリッとした醤油ベースの強烈なパンチが襲って来る! もう落ち着いてなんていられない!!

パンチを追ってくる旨味! 豚骨のどっしりとした根太さに、あらの酸味とも渋味とも苦味とも言えない旨味!! さらに香ばしさやニンニクの風味、たっぷりと入った刻みネギの清涼感! やがてやって来る、小麦の香りとほのかな柔らかさ!! これだ、これ。たまらねぇえ……! 一度口にしたら最後、麺が無くなるまで、箸は休むことなく動き続けるのだ!!

・スープ割りも絶品

スープ割りも絶品だ。麺を食べ終え、いったんは落ち着いた心を再び「あらとんワールド」に引き込む強烈なスープである。口に含むと旨味が、舌というよりは、ほっぺたの内側までにも染みこむような感覚にさえなるのだ。

強烈な旨味なので、必ず水が欲しくなる。水を飲むとこれが不思議、また口が、いや……もはや脳がスープを欲するのだ! 水とスープのコンボを重ね、気付けばスープを飲み干している自分がいる!!

・唯一無二の味だが、ダメな人はダメかも

一言でいえば、あらとん自体も公言しているように独特の「クセ」がある一杯なのである。だが、そのクセが、唯一無二であり、世界に一つであり、オンリーワンなのだ。なので、そのクセを受け付けない人は、あらとんを好きになれないかもしれない。

・オススメは断然「ひやもり」

麺は「あつもり」もあるが、オススメは断然「ひやもり」だ。スープのパンチをダイレクトに味わうには、ひやもりが最適で、あつもりだとどうしても、若干味がぼやけるように思う。私(筆者)は雪が降ろうと、吹雪になろうと、絶対にひやもりである!

・都内にも「あらとん」はあるが……

実はあらとんは都内にも店舗があり、訪ねたこともあるのだが、札幌のあらとんと全く同じだとは言えない。同じ材料、同じレシピなのかもしれないが、やはり札幌の方が美味しく感じる。それは気候のせいかもしれないし、テンションのせいかもしれないが……。

いずれにしても、北海道グルメでは強くオススメできるのがあらとんだ。どんな「クセ」何なのか? 唯一無二の「あらとん味」を自分の舌で確かめてほしい!

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 あらとん
住所 北海道札幌市中央区北10条西21丁目15番1号 札幌場外市場長屋内
時間 11:00~(スープがなくなり次第終了)
休日 月曜日(祝日の場合、翌日休業)

Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼これが唯一無二のスープ。
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▼麺はカネジン製。小麦の香りが強く、スープに負けない太麺だ!
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▼スープ割りも絶品!
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