いきなり私事で恐縮なのだが、記者(私)はその昔、東京・銀座の飲食店で務めていたことがある。その当時、いつも休憩する場所が決まっていて、路地裏の小さな抜け道にある自販機の前で一息ついたものだ。
その場所には中華屋があって、妙に繁盛していたと記憶している。その店は後に盛岡冷麺の店になり、これまた繁盛。どういう訳かまたまた店構えが代わり、2013年3月から今の「銀座 篝(かがり)」になったはずである。このお店、開店1年目から大人気店になり、ネット口コミサイトの年間ランキングに初年度にしてランクイン。現在も昼時は行列なのである。
・カウンター8席
店前に行列ができるのには、2つの理由があった。まずひとつが席数が少ないことだ。カウンター8席しかなく、一度にさばける人数に限りがある。そしてもうひとつは、当然の理由なのかもしれないのだが、お店の味にほれ込むファンが多いこと。そうでなければ、開店した年に口コミサイトでランクインは難しいだろう。おそらく足繁く通う常連さんが多いのではないだろうか。
・昼時は行列が絶えない
記者がお店に足を運ぶと、正午前からすでに行列。10~15名が待っている。これはすぐに入るのは難しいと判断し、お昼すぎに改めて訪ねると、多少列は短くなったもののやはり10名程度が並んでいた。これはもう待つしかない、そう判断してしばし待機することに。
・店外でオーダー
思っていたよりも列の進行は早く、5~6分くらいの間隔で食べ終えた人が出て行く。そうして待つこと、約20分。やっと店内に入ることができたのである。「コ」の字型のカウンターを囲うように席があり、先に入った人たちが中華そばをすすっている。ここのオーダーは席についてからではない。実は、店外で待っている間に注文を尋ねられるので、席についてしばらくすると、お願いした商品が出てくるような感じだ。
・色味の美しい白湯スープ
今回は初めてなので、一番人気の「鶏白湯SOBA」の並盛りにチャレンジ。出された器を見て、ちょっと驚いた白湯というだけあって、スープが白みを帯びたクリーム色をしている。しかもとてもきれいな色をしているのだ。上に乗った鶏チャーシュー、菜の花、タケノコのそれぞれの色味が映えている。
・臭みはなく余韻が繰り返す
そしてスープをすすってもう一度びっくり。この手のスープには、多少の臭みやくどさがつきものなのだが、それらがまったくない。旨みだけを残してスッと消え入るようなあと味。しつこくない余韻が、「もう一口」を誘っているように感じられるのだ。
・麺とスープの調和
麺はストレートの中麺で、これがとろみのあるスープによく絡む。こってりとしたスープと麺の一体感は、食べていて清々しささえ感じるほどだ。完全にこの2つが調和しているといっても、言い過ぎではない。スープ・麺、この両者の特性を知り尽くしているからこそできる、調和なのではないだろうか。後半に付け合せのショウガ・フライドオニオンを加えると、食感に変化がもたらされ、最後までおいしく食べることができた。
こってりとしたラーメン・中華そばを好まない人も多いかもしれないが、そんな人にこそ食べてもらいたい一品である。おそらく、こってり系に対する考え方が変わるのではないだろうか。口コミサイトでランクインしたのも、納得の味である。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 銀座 篝(かがり)
住所 東京都中央区銀座4-4-1 銀座Aビル 1F
時間 11:00~15:30 平日17:30~22:30、土日祝17:30~21:00
定休日 日曜日
Report: 佐藤英典
Photo: Rocketnews24