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何かと面倒くさい税金。中でも住民税は、会社の給料から天引きという形で支払われる場合もあれば、自分で納めなければならない人もいる。そのため、知らないといつの間にか未払い分が膨らみかねない危険な税金だ。

後藤崇さん(仮名)は、そんな住民税の支払いで、面倒なことになった1人。なんと財産を差し押さえられる一歩手前までいったという。彼が証拠品を見せながら、事のてん末を語ってくれたぞ。その内容は、特に住民税の怖さやその仕組みを知らない人にとって、参考になること請け合いである。

・後藤さんの告白

「2週間ほど前、私はポストに入っていたある封筒で地獄に突き落とされた。それは見慣れない緑色の封筒で、電力会社やガス会社からよく来るものとは明らかに違う。差し出し人は、A市役所市民部納税課。封筒には、わざわざ赤い文字で『重要なお知らせです。必ず開封して中をご覧下さい』と書かれていた。

A市は、以前私が住んでいた市だ。私は胃の辺りが一気に重くなった。一瞬、アパートの郵便受け近くに設置されている広告チラシ専用ゴミ箱に放り込もうかと思ったが、『それはマズイ』という心の声が聞こえたので、とりあえず踏みとどまることにしたのだ。

封筒を部屋に持ち帰り、とりあえずタバコを7、8本ほど吸った。やがて覚悟を決めて、開封した。中身を見て、再びタバコを10本近く吸った。イヤや予感は的中していた。書類の中央に “差押予告書” と目立つ色で書かれていたのだ。

実は、私は以前住んでいたA市で、住民税を払っていなかったのである。厳密に言うと、途中までは払っていたが、いくらか未払い分を残したまま、その市から引っ越したのだ。なぜ、このようなことになったのか? 全ては、私が税に対する知識を一切持たないまま社会人になってしまったことが原因だ」

・住民税が膨れあがるまで

「私が学校を出て初めて勤めた会社は、住民税が天引きされるタイプの会社ではなかった。だが、当時の私には、それを知らなかったのだ。給料明細を見ると、所得税やら雇用保険やらが引かれている。納めるべき税金は、全てそれらの給料からの天引きで納めていると思っていたのである。

働き始めて1年以上が過ぎた時、私の元に “住民税支払い通知書” が届く。初めてその書類を見た時は、『何じゃこりゃ! 市役所が間違えて送ってきたのではないか?』と思っほどだ。

その金額を見たら、1年間のトータルで7、8万円の金額が記載されているではないか! 学校を出てまだ1年少しの私にとって、決して簡単に払える金額ではなかった。なので、私は『役所が勘違いしているかもしれないし……』と、その封筒を見なかったことにして、そのまま捨てたのだ。

しばらくすると、また住民税支払いを催促する書類が届いた。文言は最初の書類よりもハードになっているが、無い袖は振れぬ。無視である。

そして、初めて “住民税支払い通知書” を受け取っておよそ1年後、また別の支払い通知書が届いた。しかも、金額は最初に受け取った通知書より、大きくなっているではないか! 『最初の年の住民税さえ払えないのに、それより高い分なんて払えるワケないだろう』と、またしても私はその書類をゴミ箱へ投げ込んだ。

当然のように、また催促書が届く。しかも、この頃になると、催促書には『延滞金』という文言が、いたる所にちりばめられていた。この言葉と記載されていた金額に怖じ気づいた私は、とりあえず封筒に記載されていた市役所の納税課へ電話してみることに」

・納税課に電話して交渉して可能な限り分割

「納税課に電話して、私は薄々感づいていたことを思い知らされることになった。それは、『住民税の支払い通知は市役所の勘違いではない』ということ。そして、『最終的には支払うしかなさそう』ということだ。

だが、払おうにもお金がない。そこで、分割で支払えるように納税課の担当者と交渉をした。しかも可能な限り分割し、最小のもので1回の支払い金額を3000円にしてもらったのだ。担当者は、『そこまで分割にすると、相当な利子がかかります』と言うが、まとめて払えない私には、分割以外の選択肢などない。

結局、私は利子のことは考えないことにして、分割で複数年に渡って未払い分を支払い続けることになった。ただ、その間も、新たな “住民税支払いの通知書” が届く。それもまた分割にせざるを得なかったために、私の家計は住民税の支払いで完全に火の車になったのである」

・引っ越しでチャラ!?

「このような生活を送っているうちに、私はやがて引っ越しでA市を離れることになった。別に未払い分の住民税から逃げようと思って引っ越した訳ではないが、『もしかしたら、支払いから逃れられるかも』という期待感があったことは確かだ。

そして、引っ越しをすると、A市納税課から連絡が途絶えたのである!! 『これは、もしかしてチャラになったのか!?』という気持ちが芽生えるのに時間はかからなかった。時間が経つにつれ、この希望的観測は、勝手に確実性を帯びてくる。

しばらくすると、私は『チャラになった』ということにした。もう、そう決めたのだ。そして、手元に残っていた未払い分の振込用紙を捨てた。この時に私が抱いていた高揚感は説明できない。まるで、脱獄に成功した『ショーシャンクの空に』の主人公のような気分だったのだ」

・1枚の差押予告書が現実に引き戻す

「しかし、私は全っっっっ然、脱獄できていなかった。『シャバに出た』と思って歓喜の雄叫びをあげていた場所は、住民税という高い塀で囲まれた刑務所の中だったのだ。超絶間抜け!! 自分がピエロだったことを、1枚の差押予告書によって知らされたのは先述の通りである」

・引っ越し後に突然来た差押予告書

「何が恐ろしいって、いきなり差押予告書が来たことだ。確かに、その未払いの分は、以前住んでいた場所で、何度も催促書を送られた分である。勝手に『チャラになった』と勘違いしたのはこちらだが、通知書などの前触れもなく、突然送られてきた書類が差押予告書なんて『マジかよ』という気分がでか過ぎる!!」

・税額より延滞金の方が多い

「しかも、明細書を見ると、分割支払いがアダになっている。1回の支払いを3000円にしてもらった分は、なんと延滞金が4800円! つまり、その回で支払うのは合計7800円だ。利子として換算すると3年で260%になる。もう、市役所に支払っているのか、消費者金融を相手にしているのか分からん! クソ高いーーーーー」

・3年がリミットか!?

「ちなみに、支払いを求められた分は平成23年度分の住民税。今は、平成26年だから、市役所の我慢は3年が目処ってことかな? このあたりは各自治体や、担当者とどれだけ交渉したかにもよると思うが、とにかく、住民税にはみんな気をつけてほしい」

……とのことである。もちろん全ての原因は、税金を支払わなかった後藤さんにあるが、住民税は何かとトラブルを招きやすい。彼のように、「税額よりも延滞金の方が多い」というような事態にならないためにも、特に会社から天引きをされていない人は注意しよう。

なお、後藤さんは、何とか残っている住民税を期限までに支払ったそうだ。

執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼差押予告書が入っていた封筒
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▼イヤな予感がする
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▼差押予告書!
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▼マジかよ……
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▼明細の一部。確かに、分割で3000円にされた分は4800円も延滞料がかかっている
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