フィンランドというと、多くの人がサンタクロースやムーミンを思い浮かべるかもしれない。たしかにこれらも、同国を象徴するもののひとつだ。しかし忘れてはいけないものがある。
・世界的なアーティストを輩出
エアギター選手権発祥の地、フィンランドにおいてロックやへヴィメタルもまた、国を代表するもののひとつ。「北欧メタル」や「フィニッシュ・ロック」と呼ばれ、世界的なアーティストを多数輩出しているのである。私(佐藤)は2013年末に同国を訪ねたとき、思わぬタイミングでこれらの音楽に遭遇して随分驚いた。
・田舎町のホテルでへヴィメタ
サンタクロース村のある小さな町、ロヴァニエミ。ここの人口はわずか6万人、北極圏のすぐそばに位置しており、冬場は運が良ければオーロラを見ることもできるという。
私が訪ねたときは、クリスマスで観光シーズンまっただ中。ここは北欧か? と思うほど数多くのアジア人に遭遇した。そんな田舎町のホテルで朝食をとっていると、BGMがなぜかへヴィメタル。特にそれを気にしている人もなく、自然にノイジーなギターリフが流れていたのである。
・石畳の町にさりげなく世界的ロックバンドのポスター
帰国前にヘルシンキに立ち寄ったときのことだ。石畳の美しい街並みは、上品なクリスマスイルミネーションに彩られ、そのきれいな景色にため息が出る思いがした。だが、ふと街灯に目をやると、少し派手めなポスターが目に飛び込んだ。世界的ロックバンド「エアロスミス」のコンサートポスターである。
一瞬、街並みになじんでいないようにも感じられたのだが、よ~く見ていると何だか当たり前のもののように見えてきた。ここでもまた、自然にロックに触れることになったのである。
・コンビニで立派なロック・メタル誌販売
もうひとつ、ロック・メタルシーンが活発であると感じさせられるものがあった。それはコンビニで販売していた音楽雑誌である。CDやカレンダーなどの付録つき雑誌がいくつも販売されていたのである。
今の日本の音楽シーンでは、これほど立派な雑誌はあまり見かけない。購入して調べてみたところ、買った3誌はいずれもイギリスに拠点を置く出版社のものであった。
・音楽誌の付録が豪華
Bauer Media社の雑誌『MOJO』は、昨年逝去したルー・リードを特集しており、2013年に話題になった15組のアーティストのCDを特典としてつけている。
Team Rock社の『Classic Rock』誌は、往年のロックスターを多数起用したカレンダーと、15組のアーティストによる2013年のCDを。そして、同じくTeam Rock社によるバンド「マイケミカルロマンス」の特集誌には、12枚のポスターと特製ステッカーがついていた。
価格も1500円程度とやや高めではあったが、ロック誌にしては随分勢いがあるように感じられたのである。
・今後も加速するフィニッシュ・ロック
余談だが、隣国ノルウェーでは音楽シーンが急成長しており、音楽ストリーミングがシェアを65パーセントに拡大しているそうだ。その影響はフィンランドにも少なからずあるのではないだろうか。
エアギターが世界的に認知され、大会が継続しているところを見ると、フィンランドのロック・メタルシーンは今後もさらに加速していくことになるだろう。それにしても、ホテルロビーでさりげなくへヴィメタルが流れるのには恐れ入った。
参照元: MUSICMAN-NET
Report: 佐藤英典
Photo: Rocketnews24
▼フィンランド北部の小さな町ロヴァニエミ。早朝は誰も歩いていない
▼ここのホテルで、朝食中に突然へヴィメタが流れてきた
▼美しきヘルシンキの街並み
▼歴史を感じさせる佇まい。そこに突然……
▼エアロスミスのポスター。妙に馴染んでいる
▼コンビニで販売している音楽誌の付録が豪華
▼『MOJO』誌には2013年のベストアーティストのCD
▼『Classic Rock』誌には
▼2013年ベストアーティストのCDと、往年のロックスターの載ったカレンダー
▼「マイケミカルロマンス」の特集誌には
▼12枚のポスターと特製ステッカー