日本の国民食と言えば! お寿司やラーメンも捨てがたいが、やはりカレーライスは外せない。日本にカレーの調理法が紹介されたのは、1872年(明治5年)のことだと言われている。
確かにインド料理を元にイギリスで発展した「カレー」が日本に入ってきたのは明治のことだ。しかし!! 本来の「薬膳料理」としてのカレーの材料は、いまから1300年前の奈良時代にすでに日本に存在していたという。その奈良時代の素材で作った「1300年カレー」を食べてみた。
・奈良時代の素材で作られた「1300年カレー」
「1300年カレー」は、1箱680円で販売されているレトルトカレーだ。レトルトにしてはちょっとお高い気もするが、いまから約1300年前の奈良時代(710~794年)に存在した素材だけで作られたという一風変わったカレーである。気になる原材料は以下のとおりだ。
「なす、里芋、大根、レンコン、しいたけ、ニンニク、生姜、酒粕、もち粟、植物油脂、味噌、ねりゴマ、蜂蜜、香辛料、ゴマ、黒コショウ、山椒、カルダモン」
ほおおお!! あくまで「奈良時代にカレーがあったら」というコンセプトで作られた創作カレーだというが、これだけの材料が奈良時代にはすでに存在していたのか! カルダモンや黒コショウが入っているとは、意外である。確かに正倉院にはスパイスの一種「クローブ(丁子)」の標本が収められているというし、僧侶や遣唐使によりもたらされていても不思議ではないだろう。ちなみに、肉は入っていない。
・確かにカレーの味!
このカレーには、肉や魚介類だけでなく、ジャガイモタマネギ、ニンジンなど、いわゆる現代カレーの主役たちは一切入っていない。あくまで1300年前に存在した材料にこだわっているようだ。
それなら「ウマミやコクが足りないのでは?」と心配になってしまうが、食べてみてそんな心配は無用だったことがわかった! ウマミ成分はナスやしいたけから、また酒粕やもち粟、味噌、ねりゴマ等が落ち着いたコクをかもしている。
さらにカルダモンの香りが鼻孔をつきぬけ、「ゆうとくけどうちは“カレー”やで」とカレーの存在感を主張している。確かにカレーだ!! いつもの具じゃないけど、確かにカレーである。
・まるで上質の豚肉みたい!! トロットロの大根で肉なしでも満足
どの具材も美味しいのだが、特筆すべきは大根である。大根とわからないくらいにトロットロ! エグミもなくしつこくない甘さがカレーと一緒になってやってくる。たとえるなら「上質の豚肉の赤身と脂身の境目の味」である。
肉が入っていないからと言って、物足りないなんてことはない。むしろ「もうカレーには大根でいいのでは?」と思うくらいだ。
・辛くないのに体がポカポカ
原材料から想像できるように、「1300年カレー」は確かにカレーの味こそするが、全く辛くない。だが、食べたあと体の中からポカポカと温まってくる。むむむ、さすがはカレー。「お釈迦様がスパイスをあわせて作ったのが始まり」という伝説がある料理である。
Report:沢井メグ
Photo:RocketNews24.
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