皆さんは、寒沢島という宮城県にある島をご存じだろうか。この島は浦戸諸島の1つで、実にどうでもいいことなのだが筆者の父の故郷でもあるのだ。小学生時代に一度父に連れられ訪れたことがあったが、最近20年ぶりに足を踏み入れた。

本塩釜駅近くにある港から600円の乗車券を買って船に乗ること1時間。まわりの景色を眺めながらの、あっという間の60分である。ビックリすることに船には喫煙所もあり、喫煙者の筆者にとっては楽な船旅でもあった。

さて、島に到着すると、港付近は瓦礫の山で、多くの工事関係者が瓦礫の仕分けや撤去をしている。なんでも島民によれば、この寒沢島も津波の被害にあり、一部の平地部分は大きく流されてしまったという。

ある島民の方は、「仕事がない人や仕事を失った人なんかは、こうして、瓦礫の撤去の仕事をもらって朝からやっているんだ。この仕事がなくなったらどうなってしまうかわからないんだけど」と話してくれた。

また、瓦礫の山々を歩いていると、数十人の方が集まって何かをしている。なんでも、土に混じり込んだアルミや木、プラスティックなどを手作業で分けているというのだ。この日は雪もちらつきとても寒い中であったが、みなさん全員が明るかったのが印象的だった。

ちなみに、この寒沢島、商店なども津波で流されてしまったようで、島内にあるのは、トイレと簡易の待合室(冷暖房ナシ)の2つのみ。もちろん民家などは残っている。また、営業している民宿はあるものの、一部の人は瓦礫の撤去などをやっているため、訪問時は必ず問い合わせをした方がいいだろう。

今回、寒沢島に訪れてわかったのが、震災の復興をご年配の方たちがやっていたということ。もともと人口が少ないので仕方がないのかもしれないが、このような現実を見ると他の被災地との違いを感じずにはいられない。

(文・写真=Yoshio)