みなさんは昨年末のクリスマス、そして今年のお正月はどう過ごされただろうか? クリスマスは友人や恋人とケーキを食べ、お正月は親戚みんなでおせち料理を食べたというように、以前から日本で浸透している慣習を行ったという方は少なくないことだろう。

それでは、海外ではクリスマス・お正月はどう過ごされているのだろうか? ということで、昨年末の「コミックマーケット81」(2011年12月29日~31日開催)に来場していた海外の方に、「日本漫画の好きなところ・嫌いなところ」の他に「海外でのクリスマス・お正月の過ごし方」についてインタビュー取材を行ってきた。

彼らの声は、日本と海外のクリスマス・お正月の過ごし方に大きな違いがあることを気づかせてくれ、非常に興味深いものとなっている。それでは、例年自分がどう過ごしているのかを考えながら、今回のインタビューを見ていって頂きたい。
 
【日本の漫画の好きなところは何ですか?】

アメリカ ソパックさん(男23歳、上の写真の右にいる男性)
「いろんな展開を見せる日本漫画のストーリーが好きです。またキャラクターひとりひとりの生い立ちを描くなど、ストーリーに深みがあるところも素晴らしいと思います」

アメリカ マリオさん(男21歳、上の写真の左にいる男性)
「画風が好きです」

スウェーデン シモーネさん(女25歳)
「海外の作品にはない、日本漫画の独特の可愛らしさが素晴らしいです。キャラクターのデザインや性格は、本当に可愛いと思います」

スウェーデン ヨハンナさん(女26歳)
「やはり可愛らしいところですね。日本には可愛い文化がたくさんあって、いいと思います」

アメリカ ロビーさん(男29歳)
「最初は、日本漫画の画風に惹かれました。しかし読んでいくにうちに、漫画のストーリーに深みがあることに気付きました。日本の漫画には、小説のような深みがあります。また『機動戦士ガンダムSEED』のように、実際の世界情勢を日本からの視点で漫画に置き換えた作品がたくさんあって、非常に興味深いです。そしてそういった作品にエンターテインメント要素が含まれていることは、さらに驚くべきことです」

フランス ジャルトゥさん(男22歳)
「画風が素晴らしいと思います。それから日本の漫画には、様々なジャンルがあって、自分に合ったものを見つけられるのも好きです」
 
【日本の漫画の嫌いなところは何ですか?】

アメリカ ソパックさん(男23歳)
「『まりあほりっく』のような読者を罠にかける作品が好きではありません。『まりあほりっく』では、最初女の子として登場するキャラクターが実は男だったという罠がしかけられてあります。英語では、このような作品を『トラップ(罠)』と呼びます。(笑)それからこれはアニメのことなんですが、埋め合わせエピソード(原作のマンガに追いつかないように作られる、本編とは関係のないエピソード)はやっぱり嫌いです」

アメリカ マリオさん(男21歳)
「日本漫画が英語に翻訳されるのをいつも待たないといけないのが、好きではありません」

スウェーデン シモーネさん(女25歳)
「キャラクターデザインやストーリーが似ている作品が増えてきていて、よくないですね。もっと個性を出した作品を作ってほしいと感じます」

スウェーデン ヨハンナさん(女26歳)
「昔はユニークな漫画が多かったんですが、最近のものはどれも似ていてあまり面白くないです」

アメリカ ロビーさん(男29歳)
「ここ10年の日本の漫画作品は、型にはまっているようで、よくないですね。例えばひとつの漫画には、元気なキャラクター、おとなしいキャラクター、すぐ死ぬキャラクターが必須というルールがあるように感じます。これを見てると、漫画がまるで法則化、産業化されているかのように感じます。もっと『Steins;Gate』のような独創的な作品を作ってほしいです」

フランス ジャルトゥさん(男22歳)
「時々漫画家さんが怠けて、絵が雑になるのが好きではありません。例えば『HUNTER×HUNTER』のように。また内容が子どもっぽくなりすぎている漫画も好きではありません」
 
【日本に来て驚いたことは何ですか?】

アメリカ ソパックさん(男23歳)
「私はニューヨーク出身なのですが、ニューヨークではいつも犯罪が起こっていました。しかし私が今住んでいる沖縄では、犯罪が全くなく、その平和さに驚きました。それから日本では、ピンクの服やカバンを男性でも身につけられることにビックリしました。アメリカでそれをやると、ゲイに見られるので」

アメリカ マリオさん(男21歳)
「人の多さに驚きました。それから、以前造られていた巨大ガンダムの像も衝撃的でしたね」

スウェーデン シモーネさん(女25歳)
「日本ではおじさんでも、AKB48やアニメキャラクターなど可愛いもののが好きなことを全く隠さないところに驚きました。スウェーデンでは、おじさんがケイタイのストラップにアニメキャラクターを使うことは絶対にありえないので(笑)」
 
【日本のクリスマスとあなたの国のクリスマスは何が違いますか?】

アメリカ ソパックさん(男23歳)
「日本でいうお正月のように、アメリカではクリスマスは家族のイベントです。親戚一同が集まり、皆でプレゼントを交換します。それからアメリカのクリスマスツリーは、本物の木を使うことが多いです。そしてクリスマスにケーキを食べるという習慣は、アメリカにはありません」

アメリカ マリオさん(男21歳)
「アメリカでは、日本以上にクリスマスは大きなイベントです。ですので、家やお店などあらゆるところがイルミネーションや風船で飾られます」

スウェーデン シモーネさん(女25歳)
「スウェーデンでは、クリスマスにケーキは食べません。(笑)」

スウェーデン ヨハンナさん(女26歳)
「日本のクリスマスはカップルで過ごすものと考えられていますが、スウェーデンのクリスマスは、日本のお正月みたいに家族で過ごします」

アメリカ ロビーさん(男29歳)
「アメリカのクリスマスは、もっと宗教的意味を持ちます。クリスマスに人々は教会に行ったり、サンタクロースではなくイエス・キリストの像を家の庭に置いたりします。ですのでキリスト教信者の方が、日本のクリスマスがカップル向けに祝われているのを見たら、とても驚くかもしれませんね。(笑)私は、リラックスできる日本のクリスマスが好きですよ。それからアメリカではクリスマスに、ケーキとKFCのチキンは食べません。日本のクリスマスの日に、KFCに行列が出来ているのを見た時、なぜ並んでいるのか分かりませんでした。(笑)アメリカのクリスマスではフライドチキンではなく、ハムや七面鳥を食べます」

フランス ジャルトゥさん(男22歳)
「日本ではクリスマスはカップルのためのものですが、フランスでは家族のためのイベントです。フランスのクリスマスでは、七面鳥やチョコレートロールを食べたりします」
 
【日本の正月とあなたの国の正月は何が違いますか?】

アメリカ ソパックさん(男23歳)
「アメリカではそれぞれの家でパーティーが行われ、皆でビールなどのお酒を飲み、皆で酔います。(笑)なかには何も食べず、ただただビールを飲む人たちもいますよ」

スウェーデン シモーネさん(女25歳)
「スウェーデンのお正月では、エビ、ロブスター、貝、カキなど魚介類を食べることが多いです。値段が高くて、普段なかなか食べられないものなので」

スウェーデン ヨハンナさん(女26歳)
「スウェーデンのお正月は、日本の正月と違って、友達と過ごします。みんな綺麗な格好をして、シャンパンを飲んで騒いだりするんです」

アメリカ ロビーさん(男29歳)
「アメリカでは、クリスマスは正月より重要なイベントで、会社は平日だろうがクリスマスは休みになります。そしてその休日は大体1月1日まで続きます。しかし日本ではクリスマスはただの楽しいイベントで、平日だったらみんな会社に行って働きます。その代わり、一大行事である正月の前後は必ず休日になりますよね。よってアメリカではクリスマスから1月1日までが休日、日本では1月1日前後から休日が始まるというイメージがあるのではないでしょうか? ちなみにアメリカの正月は、ただお酒を飲むパーティーイベントです(笑)」

フランス ジャルトゥさん(男22歳)
「日本と違ってフランスでは、お正月は友達と一緒に過ごし、パーティーに出かけます。また正月は、シャンパンなどのお酒をたくさん飲みます」
 
【あなたの国で冬に食べるものは何ですか?】

アメリカ ソパックさん(男23歳)
「冬はハロウィンやクリスマスがあるので、ペパーミント味のキャンディーをよく食べると思います。ですので日本のおせち料理のような、手の込んだものは食べませんね」

アメリカ マリオさん(男21歳)
「シナモンとかぼちゃですね」

スウェーデン ヨハンナさん(女26歳)
「スウェーデンの季節にそんなに違いがないので、冬ならではの食べ物というものがありません。その点では、日本は素晴らしいと思います。私は季節によって食べる物が変わる日本の食文化が大好きです。最近は、鍋を友達とよく一緒に作って食べています」

アメリカ ロビーさん(男29歳)
「一般的には七面鳥だと思いますが、私の家では牛肉のミートローフを食べます」

フランス ジャルトゥさん(男22歳)
「フランスでは、ポワロなどの野菜が入ったスープ、タルティフレット(ポテトチーズグラタン)、そしてパスタを食べると思います」

どうだっただろうか? こうやって見てみると、今まで当たり前だと思っていたことが、実は海外ではそうではないということに気づかされる。みなさんも海外の方と話す機会があれば、ぜひ相手の国の慣習について聞いてみるといい。きっと世界、そして日本という国についてもっと知ることができることだろう。

(文、写真=田代大一朗

▼今年もコミックマーケットは大盛況!

▼日本でファッションを勉強しているスウェーデン出身のヨハンナさん(左)とシモーネさん(右)

▼『機動戦士ガンダムSEED』のザフト軍コスプレをしていたロビーさん


▼フランス出身のかなりのイケメン・ジャルトゥさん