この広大な宇宙に、人類は一人ぼっちなのだろうか? 実は、太古からのこの疑問に答を出すべく、毎日空に向かって宇宙人の手がかりを探している組織は複数存在する。なかでも主要な活動を行っているのが、米カリフォルニア州に本部を置く「SETI協会」だ。しかし、現在深刻な資金不足に見舞われ、その活動をいったん停止せざるを得ないという大変残念なことになってしまっている。

SETI協会は、宇宙に存在する生命の起源や存在を、調査し解明することを使命とした非営利組織だ。高度な文明をもった宇宙人が遠い宇宙のかなたで発したと思われる電波信号を、なんとかキャッチしようと試みている。

そのために使っているのが、「アレン・テレスコープ・アレイ(ATA)」と呼ばれている巨大な電波望遠鏡だ。現在建設中のATAは、完成すると350基のアンテナが備わり、100万個もの恒星が24時間態勢で観測可能になるという。2007年10月以来、SETI協会は42基のアンテナで、観測を続けてきたのだ。

しかし、SETIの最高責任者トム・ピアソン氏によると、昨今の財政危機のため、運営を支えてきたカリフォルニア州やアメリカ国立科学財団からの資金援助が困難になり、先月15日より望遠鏡を「冬眠状態」に置かざるを得なくなったという。

「冬眠というのは、ATAでの観測を停止し、装置の劣化を防ぐために大幅に削減された人員で保全を行っている状態です」とピアソン氏は言う。ATAの規模拡張どころか、現在は機械の電源を切ってメンテナンスするだけで精一杯なのだ。

資金不足が解消するまで、活動は停止する模様。ピアソン氏によると、年間150万ドル(約1億2000万円)がATAの運用に、また100万ドル(約8000万円)が研究費用として必要になるという。SETI協会は現在、寄付者を募っている。

以前「25年以内に地球外生命体に接触する可能性高い」という記事でも紹介したが、宇宙人が発信する信号を人類は本当にキャッチできる可能性が高いとし、科学者たちの間で期待は高まっているのだ。それだけに、残念でならないこのニュース。一刻も早く再稼働することを願いたいものだ。

参照元: discovery.com (英文)