3月20日放送の『さんまのまんま』では、2月にR-1王者となったばかりの注目のピン芸人・佐久間一行が出演していた。佐久間は、明石家さんまと同じ吉本所属でありながら、仕事で共演するのはこの日が初めてだという。MCのさんまは、初対面で興奮を抑えきれない様子の佐久間から、少しずつ話を引き出していった。

雲行きが怪しくなってきたのは、彼が自分の飼っていたザリガニをさんまへのお土産として持参してきたあたりから。「(生き物は)スタッフが持って帰らないとアカンから大変なのよ」とさんまもあきれる。そして、ザリガニが大好きで、ピーク時は家の中で200匹のザリガニを飼っていたというエピソードを語ると、客席から驚きの声があがった。

ここで、さんまと会場にいる観客の心が1つになった。全員が全員、「どこかおかしい」と半ばあきれながら、佐久間の話を聞く態勢になっている。とどめとして切り出されたのが、彼が初めての彼女に贈るプレゼントを探していたときの話。彼は商店街を歩いていて、彼女にぴったりの品物を見つけたのだという。そこで彼は嬉々としてこう言った。

「民芸品があったんですよ!」

ここで客席から思わず「民芸品!?」という声が漏れた。しかもその正体は、得体の知れない小さな金魚鉢の置物。意気揚々と手渡すと、彼女は首をかしげたという。結局、その子とは別れてしまったと話す佐久間に、さんまが別れた原因を尋ねると、「わかんないんですけど、それかもしれないですね」と返した。

するとさんまは、「……やろ?」と一言。佐久間の素朴でマイペースすぎるキャラクターに、観客があっけにとられている感じが伝わってくる、実にスリリングな番組だった。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田

イラスト:マミヤ狂四郎