渡辺謙さんといえば、日本だけでなくハリウッドでも活躍する大俳優である。2003年公開の映画『ラストサムライ』に出演して以来、世界的に注目を集める映画スターだ。私(佐藤)は、iPhone5sとiPhone6の行列で2年連続お会いすることができた。
たった2度とはいえ、あの謙さんにお会いできたことは、この先一生の思い出になるだろう。その圧倒的な存在感とオーラは、横にいるだけで何とも言えない心地よさを感じるからだ。その謙さんのお店が、宮城県気仙沼市にある。お店の名前はK-PORT(ケーポート)。多忙を極める謙さんは、毎日Faxでメッセージを送り続けているのである。
・震災の復興
このお店は、東日本大震災の復興の力になりたいという思いから、誕生したそうだ。心のより所となる「港(PORT)」になるように、その意味を込めた店名である。復興支援に奔走する間に出会った仲間たちと手を組み、2013年10月に店舗となる建物が完成し、同年11月にオープンしている。
・「ただいま」と言いたくなる
お店の外観はちょっと変わった造りをしている。遠くから見ると、まるでテントのように見える五角形。芝居小屋をイメージして、この形が採用されたのだとか。店内は天井が高く、開放的な雰囲気である。靴を脱いで入るところが普通のカフェと異なるところ。ただ靴を脱ぐだけなのに、なぜか「ただいま」と言いたくなるから不思議だ。これも、心を癒す演出なのではないだろうか。
・手に手を取り合って
メニューにもこだわりがある。たとえば、気仙沼の海の幸をふんだんに使った「磯屋のまかない丼」は、お店の隣にある魚屋さんの魚介を使用している。またデザートの「シューPORT」はコヤマ菓子店とのコラボスイーツだ。手に手を取り合うその姿がメニューを通して伝わってくる。
・謙さんからのFax
何より私が驚いたのは、毎日届くという謙さんからのFaxレターだ。このご時勢、メールや動画をスマホから送信することだってできるはず。そこをあえて、手書きの手紙をFaxで送るところに謙さんの心意気を感じる。多忙にも関わらず、筆をとり、一筆一筆したためているのだ。世界を駆け回っているのだから、思うようにFaxが見つけられない場所だってあるというのに。
・愛情の深さ
謙さんがお店を愛し、お店のスタッフを愛し、お客さんを愛して気仙沼を愛しているその気持ちが、ひしひしと伝わってくるようである。普通の飲食店でもそれだけ思いをかけている人はそうそういないのではないだろうか。
謙さんはただお店を作っただけではなく、K-PORTと、気仙沼と一緒に生きている。そんな気がした。もしも気仙沼を訪ねる予定のある人は、K-PORTにも立ち寄って欲しい。Faxレターを見ると、その愛情の深さに感動するはずである。
・今回訪問した店舗の情報
店名:K-PORT(ケーポート)
住所:宮城県気仙沼市港町1-3
営業時間:月・木・日10:00~18:00、金・土・祝前日10:00~21:00
定休日:なし
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
▼気仙沼港を臨む場所に、お店はある
▼石焼釜で焼いたピッツァ「ケセンヌマ」。マリナーラのようだが、実はシラスと塩辛を使っている
▼薄焼きなのにモッチリとした食感に驚いた
▼「磯屋のまかない丼」。好みで出汁をかけて茶漬けに
▼唐桑りんごのコンポートをトッピングした、「シューPORT」
▼膨大な量の謙さんからのFaxレターはすべてファイリングされている
▼南果歩さんからのレターも
▼気仙沼の心の灯台、K-PORT