長年の一人っ子政策と男児の出産を重視してきた結果、中国では80年代以降生まれの人口は男性過多となり、男女比が世界一アンバランスな国となっている。結婚適齢期に至っては、同年代の女性に対し1800万人も男性が多いという計算だ。結婚願望のある中国人男性にとって危機的状況である。
お年頃の男性は女性以上に婚活に精を出すわけだが、なかでも人一倍力を入れすぎて空回っている男性がいるそうだ。彼はデカデカと「愛という字」や「電話番号」、「自己紹介」がビッシリと書かれた耳なし芳一のような婚活カーに乗り、拡声器を用いて中国全土で自己アピール。「婚活アニキ」と呼ばれ話題になっているのだ。
婚活アニキこと金英奇(きん えいき)さんは、ロシアとの国境に近い黒龍江省ハルピン市出身の28才。今年の1月に恋人と別れて以来、真実の愛を探すために経営していたカラオケ店をすべて売り払い、婚活カーに乗って中国全土を旅している。すでに19省78以上の市町村を回ったそうだ。もう大陸に愛はないと見たのか、彼は先日ついに香港入りした。
アニキの活動は、まずゴテゴテにデコレーションされた車で目的地に行き、人通りの多い場所で拡声器片手に街頭演説。道行く人に自己紹介カードを配りながら、自作の歌まで披露しているという。これではまるで選挙運動である。
香港では、彼の演説に多くの現地メディアや市民が集まった。アニキのアピール成功か!? と思いきや、肝心の女性は「やだぁー」や「絶対無理!」、「また無駄なことを……」と、かなりドン引き。洗練された香港ガールたちの心はつかみ損ねたようだ。
ちなみにアニキの配布している自己紹介カードによると、恋人の条件は「国を愛し、人民を愛し、故郷を愛し、弱きを助け強きを恐れず、かつ向上心の強い22才から26才の未婚女性」とのこと。カードはすでに10万枚配っている。一応、女性から数万件、男性からは1万件程の反応があったというが、まだ「これだ!」と思う運命の人からの連絡はないらしい。
男性から反応があってもなぁ……。
香港での5時間の活動もむなしく、結局ここでも真実の愛は見つからなかった。彼が自身に課した国内でのタイムリミットはあと4カ月。それでも見つからなければアニキは愛の世界旅行へと出発する予定だ。もしも日本に来たら、温かい目で見守っていただきたい。