・【感動巨編】ネットで彼女募集したら「彼女ができた」でござる!(その2)

仮に応募者の名前を子安辺美々(こやすべ みみ)さんと呼ぶ。ガチで付き合う気があるのかを聞いた私のメールに、美々さんの返信は以下の通りだった。

「ご返信頂きまして、ありがとうございます。(中略)私は冷やかしのつもりでご連絡はしてないです。お互い、話だったり、価値観が合う、または擦り合わせられるようならば、お付き合いをしてみたいと考えております」

「追伸 重ね重ね、失礼致します。まずはLINEで暫くお話して、それからお会いするのでも構いませんので、連絡を取り合ってみませんか?

お互い未知数過ぎるところもありますし、ひょっとしたら中澤様の生理的に受けつけない部分と見事に一致し、中澤様からお断りされる可能性もあります。(中略)お断りされてもおかしくない条件が私には揃っているかと存じます。上記のような人間でも(以下省略)」

──なんか長いのキターーーーーーーー! というわけで、速攻でLINEアカウントのアドレスを返信した。隠し切れない圧倒的なエキセントリックさを感じたからである。あ、今気づいたけど、応募条件の「多少のエキセントリックさ」ってこれかもしれない。

しばらくして、美々さんのLINEアカウントらしきものがLINEに表示された。だが、これははたして本当に美々さんのアカウントなのだろうか? なぜそう思ったかと言うと、アカウント名のアルファベットの並びが謎すぎるのである。適当? 少なくとも英語ではなさそうだ。

突然ネットワークビジネスの勧誘が始まったり、商品を勧められたらどうしよう? そんな不安感を感じていると、そのアカウントからLINEが!

「初めまして、彼女募集の件でご連絡致しました、子安辺です」

──どうやら、ちゃんと美々さんのようだ。ネットで出会った人とのLINEでは常に上記のような不安がつきまとう。逆に言うと、相手も似たような不安を感じているかもしれない。とりあえず失礼のないように敬語で挨拶を返し、お互い手探りの会話が始まった

色々聞いてみたところ、美々さんは現在バイトで生活しながら、簿記の資格試験の勉強をしている20代後半の女性だという。アカウント名はドイツ語で好きなものを並べたらそうなったとのことだった。なぜドイツ語

これまでの情報でお察しの方もいるかもしれないが、美々さんは結構変な人だ。敬語で当たり障りのない話をしていたかと思ったら、いきなり辛辣なことを言ってきたりする。マジでどんな人なのか想像がつかない。

とは言え、冷やかしや何かしらの悪意での応募ではないことは十分すぎるくらい伝わってきた。となれば、これ以上の情報を得るためには会ってみるしかないだろう。美々さんもそう思っていたのか、会う日はすぐに決まった。10日後の2018年3月21日である。

これまでの彼女募集を思い返すと、「付き合いたい!」という趣旨の応募というよりは、「会ってみて付き合うか考える」という出会いを求めている応募者が多かった。

すなわち、私が好きになればそれで付き合えるというわけではない。むしろ、私も試されていて、最終的な選択権は相手にある。実際フラれまくってるわけだし。彼女募集は出会いで0からのスタートに過ぎないのだ。

そう考えると、3月21日のデートが楽しみである反面、怖い。そもそもネットとデータでしかお互いを知らない2人。その関係は雲をつかむかのように不確かで、容易に消え去ってしまうことはこれまでの経験が物語っている。

どうやったら、この繋がりをリアルな実感のあるものに変えることができるのだろうか? と、そんなことを考えている間も美々さんとのLINEはずっと途切れず3日目に突入。普段はまめな連絡が苦手な私が、信じられないことにこの3日で1000通くらいやり取りをしている

中でも意外とテンションが上がったのは、「行ってらっしゃい」「おかえりなさい」など家で使うような挨拶が送られてきた時。いつぶりだろう? こんな言葉をかけられたのは……。

そんなこんなで1週間、約束の3月21日がやって来た。ついに美々さんに会える! 一体どんな人なんだ!? だがしかし、神は残酷だった。待ちに待ったこの日、私は衝撃的な光景に凍りつくことになるのである。誰もが震えあがる衝撃の展開は次ページすぐ!

執筆・イラスト:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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