香川県に “天空の団地” があると聞いた。「天空の城」とか「天空の庭」なんて言葉は耳にしたことがあるが、「団地」って、どういうことだよ?

そんな話を耳にした私(耕平)は真実を確かめるべく、その建物があるという香川県坂出市を訪問した。

坂出市も「空中都市」と紹介している、その場所の正式名称は『坂出人工土地』。駅北口から歩いて数分の場所にあるという。

そもそも「人工土地」という言葉自体、私は初めて聞いた。いったい内部はどうなっているのか? ここが住民の方々の生活の場であることを忘れず、見学できる範囲を歩いてみることにした。

・地上から見上げる人工土地

坂出市の案内によると、『坂出人工土地』はJR坂出駅北口から徒歩4分のところにあるらしい。とりあえず商店街を、てくてく歩いて行く。


しばらくすると「駅前通商店街」の交差点に到着。


周辺には「本通商店街」という、アーケードの入口も確認できる。


後ろを振り返ると、交差点の向こうに、2階に団地らしき建物を発見! 突然、団地を載せた大きな構造物が現れるような位置関係である。


団地といえば地面に何棟もの建物が並ぶ姿を思い浮かべるが、事前調査では地上に商業区画や駐車場があり、その上に住宅が並んでいる。道路から見上げると、白や淡い青色の住棟がコンクリートの構造物から生えているようにも見えた。


さっそく中に入ってみる。1階はちょっとした商店街のようになっていた。私が訪れたのは日曜日の夕方。屋内の商業通路では多くのシャッターが閉まり、唯一営業していると思われるスナックの看板が点灯していた。


これはあくまで取材時の光景で、普段の営業状況までは分からない。ただ、天井灯が続く長い通路と閉じた区画が並ぶ景色には、独特の静けさがあった。道路側の開けた雰囲気から一歩入っただけなのに、空気が切り替わったように感じる。


さらに進むと、その下にはパーキングが広がっている。


地上には商業区画と駐車場。その上には団地。私が知っている「団地」のイメージとは、入口からすでに違っていた。


・階段の先に団地が現れる

いよいよ “天空の団地” と呼ばれる区域に潜入すべく、階段を上がっていく。


そこにあったのは、道路から見えていた建物の屋根ではない。通路や中庭を囲むように、白い住棟が複数並んでいる。


まず忘れてはいけないのは、ここは2階である。要するに建物の2階に団地が建っているという、奇妙な空間に今いるのだ。

ガラスで覆われた案内図には「市営京町団地案内図」と書かれ、1から32までの住棟番号のほか、「集会所」「子供の遊び場」などの表示も確認できる。住宅部分の名称が「市営京町団地」であることは、この案内図から分かった。


っていうか、市営なんかい! 坂出市、尖りすぎだろ。


その近くには「人工土地見学者へのお願い」という掲示もあった。そこには、建物を写真や動画に撮影する場合、住民や周辺の家屋、店舗などが映り込まないよう、プライバシーに配慮してほしいと書かれている。


私のほかにも、見学者と思われる2人組がいた。そして、ここは観光のためだけに造られた場所ではなく、今も人が暮らす住宅である。なので当然、住民の生活を妨げないように細心の注意を払って見学していく。


・空中にある庭園

それでは『坂出人工土地』の内部を散策していこう。団地のディテールは、白いコンクリートをベースとしたモダンな雰囲気が漂っている。


で印象的だったのが、建物の上に設けられた庭園である。坂出市はここを「屋上バラ園」として紹介しており、現地にも鉢やプランター、棚、ベンチが並んでいた。


近くに住民の集いの場所と思われる、集会所も完備されていた。


団地内を周っていて、もう一つ気になったこと。それは1階にパーキングがあったが、2階に立っている団地にも駐車場があり、車がちゃんと駐車されていることだ。


一旦外に出てみると、団地に行くためのスロープを発見。駅近で駐車場完備の団地とは、なかなか条件がいいのではないだろうか?


高い通路から外を見ると、坂出の市街地と遠くの山まで見渡せる。絶景を売りにした展望台とは違う、住宅の通路や庭の向こうに、いつもの街が続いている。その日常と非日常が同時に見える感じこそ、坂出人工土地で最も不思議だったところかもしれない。


地上では商業区画と市営駐車場を歩き、階段を上がれば市営京町団地の住棟と庭園が現れる。坂出市が「空中都市」と呼ぶ理由は、実際に上下の景色を見比べるとよく分かった。

一方で、繰り返しになるが、見学するならその案内に従い撮影時には周囲の映り込みにも注意してほしい。珍しい構造を見せてもらう場所だからこそ、そこにある日常を邪魔しないことが何より大切だと思う。

参考リンク:坂出市「坂出人工土地~屋上バラ園~」
執筆:耕平
Photo:RocketNews24.

▼今から40年前に建築されたとは思えないほどモダンな団地だ