ジブリパーク、レゴランド・ジャパン、博物館明治村、ラグーナテンボスなど、アミューズメントパークの宝庫・愛知県。なかでも野外民族博物館「リトルワールド」は、“並ばない万博” とささやかれるほど国際色豊かな展示で、世界の文化を学べるらしい。

とくにリトルワールドが力を入れて展示しているのが実物大の民家。世界23の国と地域から、31棟の本物の建築物を移築・復元しているという。

暇さえあれば住宅メーカーの間取図を見て脳内妄想し、ゲームではリフォーム・シミュレーションに何百時間も溶かすほど、建物が大好物の筆者。世界の “おうち” を見られるリトルワールドに行ってきた。


・野外民族博物館「リトルワールド」

名古屋市から電車やバスで約1時間。国宝・犬山城で有名な犬山市郊外にリトルワールドはある。バス時刻にさえ気を配れば、名古屋駅からも犬山駅からも便利にアクセスできる。


一軒家だけでなく、「大邸宅」や「一族の敷地」がそのまま再現されているコーナーもあり、敷地は広大だ。一周2.5kmの周遊路を右回り、または左回りで一巡できる。


右回りで歩いた筆者の場合、最初に出迎えてくれるのは、どこか親しみを覚えるアジアの家々だ。


博物館ではあるけれど、アカデミックな堅苦しさはない。道々にある建物は、各国の文化を体感できるレストランやショップになっていて、ついつい足が止まる。季節ごとに「タイ・サワディー祭り」「ブルガリア・バラ祭り」など各国にちなんだイベントも開催される。


このエリアでおもしろかったのが、「西アフリカ カッセーナの家」! 街のように見えるけれど、いくつもの家を土壁でつなぎあわせた、ひと家族の屋敷。


一夫多妻制で、「第一夫人の家」「第二夫人の家」といった具合に複数の家がある。そして兄弟や従兄弟が一緒に住むため、広い敷地を共有する形になるのだそう。

盆正月の親戚づきあいすらサボりがちな筆者にはちょっと考えられないが、「家族」というものへの考え方が根本から違っていて興味深い。


小さな土管のような入口を入ると、半地下の部屋がある。写真では明るく写っているが、目が慣れるまでは鼻をつままれてもわからないほど暗い。窓はなく、息が詰まりそうな気がするけれど、暑さに対処する生活の知恵なのだ。実際に内部はひんやりしていた。


世界のテントを比較できるユニークな展示もある。私たちにとって家は「不動産」と呼ぶくらいだから、地面に固定されるものだ。しかし世界には住まいごと転々と移動しながら生きている人たちもいる。


スウェーデンのサーミ、モロッコのベルベル、ケニアのレンディーレ……木を支柱にしてホロを張るのは同じだけれど、少しずつ形が違う。


こちらはかの有名なアルベロベッロのトゥルッリ!! 写真だけ見たら、現地で撮ったと言われても納得してしまうのではないだろうか。


建物のなかは、家具や生活雑貨を置くなどして生活を再現している展示も多く、現地の暮らしぶりがわかる。


・ドールハウスのようなメルヘンの世界

思わず声が出たのが「フランス アルザス地方の家」や「ドイツ バイエルン州の村」が連なるヨーロッパエリアだ。


屋内も忠実に再現されており、おとぎ話の世界か、ドールハウスかと言いたくなるほどロマンチック。


よくヨーロッパやロシアの古い暮らしを描いた作品で「ストーブの上で寝る」とか「ストーブの後ろが定位置」といった描写が出てくる。たとえばムーミンのご先祖様は円筒形のタイルストーブの後ろに棲息していたとされる。

日本にいて想像する昔ながらのストーブは、触ったら火傷する。「寝られないだろ」と思ってきたのだが、北欧や中欧ではセラミックやタイルで覆われた、家具の一部のような蓄熱式の大型ストーブが活躍してきたのだそう。百聞は一見にしかず。


室内は『世界名作劇場』の空気感そのままだ。素朴ながらも温かみがあり、パンやチーズの香りがただよってきそう。本当に現地の家を訪ねている気分になる。


・家の概念がくつがえされる、インパクト賞

最後にもうひとつ、筆者がもっともインパクトを受けたのがこちら。「インドネシア バリ島貴族の家」だ。魔よけの像「ボマ」が見守る、立派な門構えから敷地に入ると……


あ、あれ? 家だと思っていたけれど神殿だったようだ。貴族の邸宅だそうだから、何部屋もの寝室や台所が連なっていると思っていたのだが……


違う、これが部屋だ! 壁も扉もない!! 開放的すぎる……!

高床の建物に、これまた開放的な寝台が備え付けられている。屋根は大きいが、ほとんど屋外のような感覚だ。敷地をぐるりと囲む外壁は強固だけれども、そのなかはひとつの家だから、壁やドアがなくても安心してくつろげるらしい。

神殿かと思ったのは半分正解で、敷地のなかに祭祀場や舞台がある。神々に捧げる踊りやガムラン演奏も行われるそう。

住宅メーカーの間取図を見るよりもずっと、「ここに住んだら、ここを寝室にして……」といった空想がはかどる。筆者は自宅にいてさえ「どこかにもぐりこみたい」と思うほど、ひきこもり体質なので、バリには住めないかもなぁ……。


・世界の文化を体験

最後に世界のグルメを楽しめる「ワールドバザールカフェ」で「ヨーロッパソーセージプレート」を食してフィニッシュ! カレーソースの添えられた、肉感のあるソーセージだった。

野外展示だけでもかなりのボリュームだが、リトルワールドには屋内型の本館展示室もある。人類の進化の歴史から、文化の発展までを網羅している。

ほかに民族衣装を借りて写真を撮ったり、工芸品を買ったり、名前だけでは味を想像できない各国料理を食べたり、一日ではとても体験し尽くせない、リピート必須の夢の民族博物館がここにあった。

※記事内の記載はあくまで個人の感想です。さまざまな世代、感性、背景をベースにした自分だけの体験をどうぞ現地でお楽しみください。

参考リンク:野外民族博物館リトルワールド
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.