独身時代は駅まで3分だった私の都会ライフも、結婚してから徒歩25分の田舎ライフに変わった。ギリギリに家を出ても間に合っていたのが、時間にルーズなバスのために1本分早く起きるのだ。

そんなバス通勤に嫌気が差し、1年前、人生初の原付購入へと踏み切った。

・ズーマーとの出会い

今、新車でも10万程度でそこそこの原付が手に入る。正直、家から駅までの通勤用だし、デザインは何でも良いと思っていた。ビーノやジョルノあたりの可愛らしいタイプを勧められる中、ふと目に入った中古の原付に心を鷲掴みにされてしまった。

少々厳つい見た目の彼は、HONDAの「ズーマー」という車種だった。50ccを超えるバイクならオーソドックスな形だが、原付でネイキッドタイプは珍しい。

自動車の知識がない私にとって、性能よりも見た目が大事。12年落ちで19万円という、今なら踏みとどまるであろう事実を無視して購入を決めてしまった。



・想定外の悪条件

我が愛車は2010年式で、購入時点で走行距離6000km。


無骨でめちゃくちゃ格好いいのだけど、収納スペースはない。ていうかビックリするくらい何もない。小物を入れるポケットや、買い物袋を引っ掛けるフックすらないのだ。足元に置ける荷物サイズでなければ乗車不可である。

かろうじてヘルメットホルダーは存在するのだが、外付けのため、屋根なしの駐車場に停める時は雨ざらし決定。なんて使い勝手が悪いんだ。


ちなみにガソリンメーターも無く、燃料不足や速度超過の際には点滅する警告灯が付いてるだけ。シンプルな外見追求のために、必要なものまで取っ払てしまうとはいかがなものか。


そしてご覧の通り、タイヤが太くホイールベースが長い。軸が安定するので真っ直ぐ走る分には安全だが、コーナーは非常に曲がりにくいのだ。小回りが利かない原付など前代未聞である。


と、悪条件ながら、乗ってみると格好よくて堪らない。

もうズーマーの魅力はこの「格好いい」の一言に尽きるのである。原付特有の野暮ったさは皆無。極限にすべてを取り払ったデザインも悪くないように思えてしまう。とても法定速度30km / hとは思えない見た目だ。



ちなみにズーマーは2017年で生産が終了している。だから12年落ちの身分で19万円もしたのだ。しかし、おかげで他人と被ることもないし、停めてある姿を見るだけでもテンションが上がる。

収納をはじめ不便な部分は山ほどあるのだが、そんなところも引っくるめて愛おしい。通勤のたび「あぁ、ズーマーに乗ってる自分格好いい」と酔えるのだから、実はお安いのかもしれない。

もし乗り換えるなら収納が充実した原付を選ぼうかな……とたまに思ったりもするが、乗れば乗るほどズーマーの魅力に気づかされる自分がいる。走れるところまで長生きしてほしいものである。


参考リンク:モーターファン
執筆:こいずみゆか
Photo:RocketNews24.