
「透明人間になれたら何をしたいか」という問いに対し、筆者は最近答えを得た。つい先日、宅配ピザチェーンの「ピザハット」と、家系ラーメン総本山の「吉村家」によるコラボピザが発売されたのだが、できることなら両者の会談の様子を盗み見たかったと切に感じている。
無論、そのためには時間を遡らねばならず、つまり透明人間になったうえでタイムマシンに乗って「ピザハット」と「吉村家」の会談に居合わせたかったというのが正確なところである。文面が混沌としてきたが、とにかくそれだけ異色のコラボということである。
筆者は家系ラーメンをこよなく愛しているので、なおのこと興味は尽きない。透明化とタイムトラベルの手段を一挙に確立するのはあまり現実的ではない以上、せめてどんな商品が生まれたのか確かめたい。そういうわけで、筆者は早速コラボピザの注文に乗り出したのだった。
改めて詳細を書くと、そのピザの名は「吉村家監修 横浜家系ラーメンピザ」という。2026年3月4日から3月31日までの期間限定で発売されている。価格は持ち帰りが税込2230円、配達が税込3190円であり、スペシャルクリスピー生地かつMサイズのみの提供となっている。
「ピザハット」の公式サイトにはごく一部だが開発風景が載っていて、「吉村家」の吉村会長から厳しい監修の末、「これはイケる!」とお墨付きが出たそうである。つくづく透明化してタイムマシンに乗りたかったと言うほかない。
そんな「家系ラーメンピザ」の実物と対面すると、世にも奇抜な外見に圧倒された。生地の上に盛られたラーメンの麺やらほうれん草やらチャーシューやらが、家系めいた茶色いソースの下からそこかしこで見え隠れしている。
ちなみに「ピザハット」の公式サイトには、「麺の硬さ・味の濃さ・油の量はお選びいただけません」との注意書きまで載っている。およそピザとは思えぬ注意書きである。「そりゃそうだろうな」と言うほかない。
とはいえ、別添えのトッピングとしてきざみ海苔に加え、卓上調味料から着想を得たらしい「にんにく酢」が味変用に付属したりしていて、「可能な限りピザを家系ラーメンに近づけよう」という有史以来初めての企業努力がひしひしと伝わってくる。
何かと規格外のピザに、しかし食欲をそそられないわけでは当然ない。むしろ振りかけた海苔の映え具合が駄目押しとなり、筆者を実食に駆り立てた。
正直、第一印象は「家系ラーメンピザ」というより照り焼き系のピザに近かった。だが噛みしめているうちに、慣れ親しんだ豚骨醤油のキレのある風味が口内に広がり、何とも不思議で心躍る感覚がこみ上げた。
何より驚かされたのは、麺と生地の相性の良さである。家系うんぬん以前に、そもそもラーメンが盛られたピザを食べたことがなかったのだが、濃厚なソースの絡んだ柔らかな中太の麺は、想像を遥かに越えて快い食べ心地で生地とともに胃に収まっていった。
何故こうも相性が良いのかと考えてみたところ、この「家系ラーメンピザ」の遠縁の親戚にあたるのが、例えば焼きそばパンなどの存在ではないかという私見に至った。何ならそこから3親等以内に広島風お好み焼きもいるはずである。
要するにこのピザは、全くの常識の外からやってきたようでいて、我々の潜在的な需要を確かに反映してもいる。狙ってか狙わずしてか、奇抜さと取っつきやすさを絶妙に両立することに成功している。
おまけにその濃厚な味わいに飽きたとしても、前出の「にんにく酢」を投入すれば、酸味とにんにくの香りが再び食欲を加速させること請け合いだ。にんにく酢をもって「家系ラーメンピザ」が完成するようにさえ感じる。
実際、ピザに途中で飽きてしまうことの多い筆者が手を止めることがなかったのは、家系好きであること以上に、「取っつきやすいうえに味変できる」ことが大いに影響していたに違いない。
結論を書くと、「家系ラーメンピザ」は強烈ではないにせよ家系らしさを備えており、そして家系好きのみならず多くの人にお勧めできるクオリティに仕上がっている。特に和風のピザをよく食べる方は、きっとこのピザも気に入ることだろう。
しかしながら、「ピザを家系ラーメンに近づける」という試みが、今回で最善の結末を迎えたとも思えない。さらなる完成度を求め、二度目のコラボが実現する未来もありえる。またもやタイムマシンに乗って確かめたいところだが、我慢して楽しみに待つとしよう。
参考リンク:ピザハット「吉村家監修 横浜家系ラーメンピザ」商品紹介ページ
執筆:西本大紀
Photo:RocketNews24.
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▼「ピザハット」と「吉村家」のタッグをまた見たい
西本大紀









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