現在、日本では衆議院選挙の真っ只中だ。

そんなタイミングだからこそ思い出すのが、台湾で暮らしていた頃に体感した、台湾の選挙風景である。

結婚式の途中で、まったくの部外者である選挙活動の人が各テーブルを回ってきたり、 公園に豪華な子ども用遊具が突然設置されたり、投票のために数時間並ぶ人が珍しくなかったり……などなど。

今回は、政策や政党の話ではなく、台湾生活で驚いた選挙に関する体験を紹介したい。

・人生の一大イベントで…

台湾で出席させていただいた結婚式では、驚くことがいくつもあったが、そのひとつが披露宴中に歓談していた最中の出来事だった。

会場に突然ポロシャツ姿の数人がふらりと入ってきたのである。友人とか会場スタッフかと思いきや、まったくの部外者である選挙活動のスタッフである。(多分新郎新婦にも事前許可とかとってないのでは…)

彼らはマイクを持つこともなく、式を止めることもない。ただ静かに各テーブルを回り、軽く挨拶をしてPR用の配布物を配っていくだけだ。

新郎新婦も特に気にする様子はなく、 ゲストも「あ、来たね」くらいの反応で、披露宴はそのまま続行する。

日本人の感覚だと 「結婚式で選挙活動!?」と引いてしまいそうな場面だが、台湾ではそこまで特別な光景ではないらしい。


・配られるのは、ビラだけじゃない

選挙活動と聞くと、公約などが記載されたチラシを想像しがちだが、台湾ではそれだけではない。

オリジナルデザインのアルコールスプレーやティッシュ、うちわ、ボールペン、マスク、メモ用紙などなど。なかには、フェイスパックやマシュマロを配っている候補者に出会ったこともあったなぁ……。

最初は思わず「これもアリなのか」と二度見してしまった。なお、こうした配布品については、1個あたりの金額に一応の規定(30台湾ドル=約140円以下)があると友人から聞いたことがある。


・公園に突然あらわれたプール

また、子育て世代にとって、ありがたいと感じた選挙活動もあった。私が見かけたことがあるのが、突如として現れる無料の子どもの遊び場である。

無料といっても、その規模がなかなかすごい。滑り台つきの大型エアー遊具が設置されていたり、簡易プールが用意されていたり、さらには大きなシャボン玉の道具を自由に貸し出していたりと、かなり本格的だ。

政党や政策とは無関係に、思わず得をした気分になるほどの遊び場だが、とくに何かに勧誘されたりということはなかった。


・投票するために、数時間並ぶ人たち

日本では最近だと、ボンボンドロップシールのために並んだり、人気グルメのために行列ができたりすることは珍しくない。

ただ、「選挙の投票のために並ぶ」という話は、あまり聞かないのではないだろうか。

一方で、政治を自分ごととして捉えている人が多い台湾では、選挙への関心が非常に高い。その結果、投票率も高く、投票のために長時間並ぶことも珍しくない。

実際、周囲の台湾人から「投票するために1時間以上並んだ」という話を聞いたこともある。


・超早口の中国語で語られる、投票前の熱気

他にも、同じマンションに住んでいた台湾人が、投票前イベントの動画を見せてくれたことがあったのだが、大勢の人が集まり、声を上げて盛り上がる会場の様子だった。

応援演説が行われるのはもちろんのこと、ステージ上では歌唱やダンスといったパフォーマンスまで披露されており、コンサート会場じゃない? と思ってしまうほどの熱気だった。


・あの頃の熱気を思い出しながら

あのとき結婚式を回っていた人たちや、超早口で熱弁してくれたおじさんは、元気かなあと、そんなことを思い出しながら、先日、期日前投票を済ませた。

静かな会場で一票を投じながら、あの頃の台湾の熱気を対照的に思い出していた。(なんだかコラムっぽい締めになってしまった……)

執筆:夏野ふとん
Photo:RocketNews24.